第100回全国高校サッカー選手権決勝が1月10日、東京・国立競技場で行われ、青森山田(青森)が大津(熊本)を4-0で下し、3年ぶり3回目の優勝。全国高校総体、U18プレミアリーグEASTと合わせて「高校3冠」を達成した。試合後の記者会見で、優勝メンバーが強さの秘密を語った。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

節目となる100回大会で「高校3冠」を遂げた青森山田

このチームなら絶対優勝できる

―前々回と前回は準優勝。“3度目の正直”で優勝した感想は?

松木玖生(3年主将MF) この選手権では自分が全国でも一番悔しい思いをしていましたが、このチームなら絶対に優勝できると思いましたし、チームメイトに感謝しています。今日は今シーズンを通して1番か2番ぐらいの出来でした。

先制点を挙げた丸山大和(3年)。本職の守備では相手を完封した

―先制点の直前に両手を挙げて味方を鼓舞していましたが、どういう思いで行ったのですか?

松木 チームに勢いがなくなっていた時間帯だったので、「このコーナーキックで(得点を取りに)行くぞ」と。そこからゴールにつながったので自分の気持ちが伝わったと思います。

―「高校3冠」を成し遂げた気持ちは?

松木 自分たちは「3冠」と口にしていましたが、一戦一戦を大切に戦うことを目標に矢印を向けていけたのが、3冠につながったと思います。このチームで成し遂げられてうれしいです。

労を惜しまないハードワークが光った田澤夢積(3年)

みんなで意見言い、聞く耳持つ

―黒田剛監督が「最強のチームだった」と言っていました。キャプテンとしてはどんな感触を持っていますか?

松木 キャプテンとか関係なしに、みんなが意見を言うし、聞く耳も持っている。団結力が素晴らしいチームでした。

―青森山田中時代からダブルボランチ(守備的MF)を組んできた宇野禅斗選手(3年)はどんな存在でしたか?

松木 禅斗は、自分がプレーしていて自由に動けるボランチでしたし、自分を成長させてくれる存在でした。

宇野禅斗(3年)は攻守の要としてピッチを駆け回った

―中学時代を含め、6年間を青森山田で過ごしてきていかがですか?

松木 選手権で優勝し、プロになりたいという思いで青森山田に進学してきて、そんなに甘いものではないと感じていましたが、キャプテンを任されてから自信になりましたし、勝てると思えるようになりました。今後、プロに行ってからもチームを勝たせられるような貢献をしたり、結果を残していきたいです。

仲間信じて飛び込む

―本日の試合を振り返っての感想は?

丸山大和(3年DF) この2年間、選手権は決勝の舞台で負けて、自分はスタンドから見ていて悔しかった。この悔しさはこの大会でしか返せないし、優勝しないと悔いが残ると思ったので、何が何でも3年間の集大成としてやり切るつもりでした。チーム全員で戦った結果が勝利につながったと思います。

絶対的エースとして奮闘した主将の松木玖生(3年)

―全国高校総体でも決勝で得点し、今日も先制ゴール。その勝負強さはどこから来ている?

丸山 味方が質の良いボールを入れてくれるので、信じて飛び込んでいるからです。セットプレーは自分がターゲットとしてずっと取り組んできて、その責任を感じながら自信を持って臨みました。

チームみんながキャプテン

―大津の攻撃をどのように止めようと考えていましたか?

丸山 同じDFの三輪椋平(3年)とコミュニケーションを取りながら、身長191センチのFW小林俊瑛選手(2年)をどう止めるかを考えていました。身長差は10センチ以上ありましたが、身長のせいにしていたら自分はそこまでだなと感じていて、何本か競り負けましたがシュートは打たれなかったので良かったと思います。

―守備陣は春先に総入れ替えされましたが、ご自身の1年間の成長をどう感じていますか?

丸山 総入れ替えしてすぐは前線と守備陣のバランスが悪く、守備のメンバーは監督や仲間から怒られっぱなしでした。それが悔しくて、シュートを打たせない気持ちが強みになりました。

試合を決定づける4点目を挙げた渡邊星来(3年)

―チームとして何でもできるサッカーを掲げてきた中で、前はできなかったけれど今はできるようになったことは?

丸山 チームのみんながキャプテンのような意識でやることです。チームのために走ったり声を出したり、ボール際で戦う姿勢を見せたりという全員の意識が強まりました。

1970年創部。全国高校総体、U18プレミアリーグ優勝各2回。チームスローガンは「百戦百打 一瞬の心」。全国高校選手権では前々回と前回は決勝で敗れ、涙を飲んだ。卒業生に日本代表の柴崎岳(スペイン・レガネス)など。練習は人工芝の学校グラウンドや田茂木野グラウンドで週6日(平日14:00~17:00/土日祝日と長期休暇8:00~17:00)。