女優の鈴木梨央さんが高校生たちの切実な悩み相談に答えてくれました。鈴木さん自身も現役の高校生。同世代からの悩みに共感し、自らが実践している対応策を親身に伝えます。そして、コロナ禍での学校生活や、高校生のうちに達成したい目標も語ってもらいました。(中田宗孝)

波の音を聞いてリフレッシュ

―高校生から鈴木さんへ質問が届いています。「コロナ禍の高校生活ですが、どのように過ごしていますか?」

私も高校の入学式が新型コロナの影響で遅れて、ソーシャルディスタンスの中で行われました。いろいろな制限がある中で開催された文化祭には参加できたんです。

鈴木さんも現役高校生

私たちのクラスは、ダンスありアクション演技ありのパフォーマンスを披露しました。クラス一丸になって一つのことを成し遂げ、私にとっても忘れられない思い出になりました!

―「私は勉強のモチベーションが保てません。鈴木さんは、家での勉強や台本暗記があるのに気分があがらないとき、どうしていますか?」

仮眠をとったりお風呂に入ったりと、思いきった気分転換をしちゃいますね。心身ともにすっきりリフレッシュさせるんです。

机に向かってはいるけれど、いまいち気分が乗らないときは、音楽を聞きます。最近は「波の音」のような環境音楽を聞いて、思うように勉強がはかどらずに焦る気持ちを落ち着かせています。

そして気分を変えたら、「もうこれはやらなきゃいけないよね!」と、客観的に自分に言い聞かせて、やるべきことをするように誘導するのも大事ですね!

悩みは本音で打ち明ける

―「高校生活の中で、勉強や人間関係などの悩みが尽きません。鈴木さんは悩みをどのように解決していますか?」

家族や友人に悩みを打ち明けるより先に「自分で解決できないか」と考えます。悩みを抱えたら、自分ひとりで解決できるならそうしたい。ですが、「誰かに悩みを聞いてもらいたいな」と思うことももちろんあります。何か助言が欲しいというよりは、ただ話を聞いてもらいたくて。

そのときは、相談相手に包み隠さず本音で悩みを打ち明けます。その方が私的にもすっきりするんです。

高校生の質問に真摯に答える鈴木さん

沈黙が苦手「自分から話しかけます」

―「芸能活動で多くの人と関わる機会があると思います。初対面の人との話し方、まわりと円滑な人間関係の築き方など、鈴木さんのコミュニケーション術を教えてください」

私は沈黙がとっても苦手なタイプ。なので、誰かと一緒にいると、私の方から話しかけているかも。

仕事柄、はじめましての方と接する機会も多いです。どんな方でも最初に会話を交わすときは、お互いの“共通点”を見つけるような話題をふるようにしています。「趣味は何ですか?」とか「最近、ハマっていることは?」とか。こんな他愛のない会話でいいと思います。まずは互いの緊張をほぐす意味もありますから。

―「これからのご自身の高校生活での目標はありますか?」

高校生のうちに、自分の“引き出し”となるものを多く見つけていきたいです。好きなことをより追求したり、気になることにチャレンジしたり。

今は音楽制作に興味があります。パソコンやギターを使って作曲ができるようになりたい。目標を達成するためには自分が楽しんで取り組めるかが大切だと思うので、その気持ちをもって楽曲制作にチャレンジしていきたいですね。

どんどん新たな挑戦をしているという

予期せぬ妊娠に悩む高校生を熱演

―主演ドラマ「命のバトン」で鈴木さんは、思いかげない妊娠に悩む高校生・結を演じています。難しい役だったのではないでしょうか。

妊娠している事実をどう受け止めたらいいのか……、誰にも相談できずにどうすればいいのか分からない……。そんな結の不安な気持ちは、同世代の私がもし彼女の立場だったら同じように悩むだろうと感じました。

劇中の一コマ。出産し赤ちゃんと対面する結

普段は演じる役柄を客観視して、台本を読んで自分が感じた役のイメージを膨らませて演技をすることが多いのですが、今作では私自身が結に寄り添うように演じようと心掛けたんです。

―今作は、生みの親から託された子どもを育ての親が我が子として育てる「赤ちゃん縁組」が題材。赤ちゃん縁組への理解を深めてから撮影に臨んだそうですね。

「赤ちゃん縁組」のドキュメンタリーや書籍に目を通しました。児童相談所の元所長さん講演も聴きました。思いがけない妊娠をした女性は悩みを打ち明けることが難しいことや、養子当事者の声などはじめて知ることがたくさんありました。

倉科カナさん演じる児童福祉司・千春に支えられ前を進む結

―「命のバトン」でのご自身の演技の見どころを教えてください。

私が演じた結の言葉一つ一つに重みがあります。そして彼女は、自分を支えてくれる方々と出会い、気持ちの変化が訪れます。結の心境が視聴者の方に届くように演技をしています。私の演技が今作を通して、幅広い世代の方に「赤ちゃん縁組」について知ってもらえたらと思います。

命のバトン

予期せぬ妊娠に気づいた高校2年生の結(鈴木梨央)は、偶然知り合った児童福祉司の千春(倉科カナ)に促され産婦人科を受診。だが妊娠22週目と判明し、すでに中絶を選択できる時期は過ぎていた。千春は結の気持ちに寄り添いながら、さまざまな選択肢を提示する。その中の一つが、さまざま事情で生みの親が育てられない赤ちゃんと育ての親を養子縁組し、裁判所の審判を経て戸籍上も実の親子になる“赤ちゃん縁組(新生児の特別養子縁組)”だった。今作は「ドラマパート」と、実際に養子縁組の選択をした家族が登場する「ドキュメンタリーパート」を織り交ぜた番組構成で、命の尊さを伝えていく。

11月18日(木)、NHK・BS1で前編・午後8時~、後編・午後9時~放送。

すずき・りお

2005年2月10日生まれ。埼玉県出身。子役として、NHK大河ドラマ「八重の桜」で主人公の幼少期、NHK連続テレビ小説「あさが来た」ではヒロインの幼少期を演じて注目を集める。そのほかNHK出演番組「大河ファンタジー 精霊の守り人 2/最終章」「ひきこもり先生」、映画「僕だけがいない街」、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」に出演し、「こどもしょくどう」では主演を務める。