注目の若手女優・山田杏奈さん。「やる気が出ない」「部活で後輩を引っ張る存在になりたい」と、思い悩む高校生にアドバイスを送ってくれた。(文・中田宗孝、写真・幡原裕治)

「悔しさ」でやる気を起こす

―山田さん宛に届いた高校生からの質問です。「やる気が出ないとき、どうモチベーションを上げていますか?」

名作映画・ドラマを鑑賞して、演技欲を奮い立たせます。

質の高い映画やドラマ作品を観ることでモチベーションを上げています。「この方のお芝居すごいな。私も頑張ろう」とか「こんな役をしてみたい」なんて思うんです。

山田杏奈さん(メーク・横山雷志郎(Raishirou Yokoyama)/Yolken、スタイリング・武久真理江)

時々、「なんで自分がこの役を演じていないんだろう」と、悔しさが込みあげることもある。その悔しさでやる気を起こし、自分のお芝居に繋げていきます。

他愛ない雑談を大事にしてみて

―続いて、「私は部活で副部長をしています。でもシャイな性格で、後輩たちをうまく引っ張っていけずに悩んでいます」

まずは自分が「誰でもウェルカム!」という雰囲気を出してみてください。そして、何でも良いので後輩たちにマメに話し掛けてみるのは大事です。

今の私の話になるのですが、撮影現場では、大勢のスタッフさん一人一人とわずかな時間でも会話しようと心掛けています。「そのTシャツかわいいですね」なんて、他愛のない雑談でもいい。

高校生の質問に丁寧に答えてくれた

すると私自身、撮影現場での居心地が良くなるし、話し掛けた相手も「自分のことを知ろうとしてくれているんだ」と、無意識的にでも感じてくれる。小さなコミュニケーションで、後輩たちと壁のない関係を築いてください。

レンタサイクルでリフレッシュ

―綿矢りささんの小説「ひらいて」の実写版映画で、ヒロインの高校生・愛を演じてますね。素の自分とはかけ離れたキャラクターとのこと。演じるのは大変でしたか?

そうですね。愛を演じていると、私の内面が消耗していくのが分かりました。

「ひらいて」のワンシーン

普段は撮影を離れれば、役の性格をあまり引きずらないタイプ。でも今回は、家に帰らず地方に数日間滞在しての撮影だったこともあって、精神的に結構くらってしまいました……。

―そんな時はどう気持ちを切り換えていましたか?

自分でも撮影現場とホテルの往復だけでは気持ちがもたないなって感じたので、撮影がお休みの日に、無理やり外出したんです。

レンタサイクルを利用して、川辺を一人で走っていました。途中、公園でたい焼きを食べて(笑)。ちょっとしたリフレッシュのお陰で、愛を演じきることができました。

やまだ・あんな

2001年1月8日生まれ。埼玉県出身。2011年、少女漫画雑誌が実施したオーディションでグランプリを受賞して芸能界デビュー。近年の主な出演作に映画「樹海村」(W主演)、「名も無き世界のエンドロール」、ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(W主演)など。待機作にヒロインを演じる映画「彼女が好きなものは」(2021年秋公開)などがある。

映画「ひらいて」

 

高3の木村愛(山田杏奈)は成績優秀でクラスでも明るく目立つ存在だ。華やかな彼女は男子からの人気も高い。順風満帆な高校生活のように見える愛だが、ずっと片思いする西村たとえ(作間龍斗)の気持ちを振り向かせられなかった。ある日、愛は、たとえが地味な同級生の新藤美雪(芋生悠)と恋人同士だと知る。心を激しく揺さぶられた愛は、ある思惑を抱えて美雪と親しくなるのだが……。配給:ショウゲート。10月22日(金)より全国公開。

(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会