「隠れ銀河」発見の研究成果を発見者の札本佳伸さん作成のスライドで説明

過去20年以上の間、遠方にある銀河の研究が急速に進んできた。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

134億光年離れた銀河からの光や電波は134億年かけて地球に届く。遠方にある銀河を観測することで、過去の銀河の姿がわかる。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

 

これまでの遠方の銀河の観測は、銀河が発する紫外線(宇宙の膨張により、地球に届くときは近赤外線になる)をとらえることによって行われてきた。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

銀河内部には、星の世代交代によって塵がつくられる。塵は光を吸収する。銀河が塵に隠されれば、紫外線による観測ができなくなる。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

これまでの研究では、初期の銀河のほとんどは塵で隠されておらず、紫外線で見つけられると考えられてきた。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

アルマ望遠鏡を用いて130億年以上前の銀河を観測する国際研究プロジェクトに、日本から札本佳伸さん、広島大学の稲見華恵さんらが参加。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

札本さんは、アルマ望遠鏡による観測の過程で、以前から知られていた2つの銀河に注目した。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

以前から知られていた銀河から離れた「何もない」はずの場所から、塵からの放射と輝線を観測し、「隠れ銀河」の存在を発見した。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

2つの天域で、紫外線は観測できないが、アルマ望遠鏡で塵からの放射や電離炭素原子からの輝線をはっきりととらえたことで、「隠れ銀河」を発見した。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

発見した「隠れ銀河」は、この時代のほかの「典型的な銀河」と、星形成活動や質量が変わらない。若い宇宙において典型的な銀河も塵に隠されてしまうことを発見した。このことは、これまでの探査では、同じような塵にうもれた銀河を見逃していたことを示唆する。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

これまで知られていた銀河(右下)と、今回発見した「隠れ銀河」(右上)の想像図。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供

今後は、今回発見したような「隠れ銀河」がどのくらい存在するのかを探索することが研究課題となる。

札本佳伸さん、国立天文台ほか提供