日本も参加する国際チームが、遠く離れた銀河の中心にある超巨大ブラックホールの輪郭を撮影することに世界で初めて成功した。
「輪郭」初めて捉える
ブラックホールは恒星の残骸など大量の物質が一点に圧縮されてできる高密度で強い重力を持つ天体だが、あらゆるものを吸い込んでしまうため、直接姿を見ることはできない。これまでブラックホールに落ち込むガスなどが出すエックス線を遠くから観測した例はあるが、光さえ吸い込む「黒い穴」の輪郭を直接捉えたのは初めてだ。
宇宙の歴史に迫る
100年以上前にアインシュタインが理論でその存在を示し、ずっとあると言われながらも誰も見ていなかったものが初めて視覚的に確認された。専門家は、ブラックホールの正体だけでなく、星や銀河ができる過程など宇宙の歴史に迫ることができるノーベル賞級の成果と高く評価している。
世界6カ所の望遠鏡使う
観測には国立天文台水沢VLBI観測所や東北大、広島大、欧米などから200人以上が参加した。チームは日本などが運用する南米チリのアルマ望遠鏡や欧州、南極など6カ所の望遠鏡を組み合わせて、地球の直径に近い口径1万キロの電波望遠鏡を仮想的に作成。地球から約5500万光年離れたおとめ座M87銀河の中心にあるブラックホールを観測し、データから画像を作る作業を続けていた。