医療系専門職として人気の薬剤師。今回は薬剤師になるために避けては通れない「薬剤師国家試験」の概要、難易度や合格率について解説する。

 

薬剤師国家試験とは?

薬剤師になるためには6年制の薬学部を卒業した上で、厚生労働省が毎年実施する薬剤師国家試験に合格しなければならない。

試験は年に一度、近年では2月の第3週目の土日の2日間にわたって行われている。試験は物理・化学・生物から薬学、法令、実務など7科目、345問からなるマークシート形式で出題され、幅広く知識が問われる。

難易度や合格率は?

 

合格のためにはおよそ65%の得点と科目ごとに設定される合格基準点を超える必要がある。1科目でも合格基準点を下回る場合は総得点が合格ラインに達していても不合格になる。

なお今年2月の試験の受験者数は14,124人(このうち新卒8,565人)。このうち合格者は9,607人(同7,386人)で、合格率は68.02%(同85.24%)だった。

さらに国公私立大別の合格率は国立大が84.4%(同91.6%)、公立大が81%(同90.3%)、私立大が67%(同84.7%)だった。私立大では30%台から90%台と合格率に大きな差があった。

国家試験に落ちるとどうなるか?

薬剤師国家試験に不合格になった場合、「公務員」「病院(グループ病院・首都圏病院)」「製薬メーカー(管理薬剤師)」など人気があり、すぐに代わりの人員を採用できる可能性の高い職種ほど、採用が取り消される。しかし、過疎地など薬剤師の確保が難しい職場では内定が維持されることもあるなど、内定先により対応は異なる。

不合格者は予備校に通ったり、アルバイトをしながら翌年の試験に備える。

どんな対策をいつ頃からやるの?

5年生になると病院や薬局での実務実習がそれぞれ11週間ある。さらに卒論の準備や就職活動も始まるなど薬学部の5・6年生はじっくり受験対策に充てる時間は多くはない。そのため、5年生の実習がない時期に少しずつ受験勉強を始めるのがおすすめだ。

まずは1年分の過去問を解いてみよう。全般的にできなかった場合は物理・化学・生物から取り組んでみるといい。科学の基本的な知識があると薬学の理解も容易になる。また科目ごとに合格基準点が設けられているため、苦手科目を作らないことも大切だ。

資格取得後も知識のアップデートが必要

医学は急速に進歩し、治療法や薬の種類もどんどん増え、高齢者の増加などの社会環境の変化により、薬剤師の役割・活躍の場所も広がりを見せている。そのため薬剤師は日々研鑽を積み、新しい知識を身に付ける努力が求められている。

★薬のスペシャリスト薬剤師や研究者がめざせる大学
医療創生大学(6年制)
昭和薬科大学(6年制)
帝京平成大学(6年制)
東京薬科大学(6年制)
星薬科大学(4年制・6年制)
明治薬科大学(4年制・6年制)