高校での勉強で重視される英語。「勉強しているのに話せない……」など、はがゆい思いをしている高校生の声も少なくありません。今回は、学校の英語の授業に不満を持つ3人の高校生記者に集まってもらい、日本の英語教育制度をどう変えていくべきなのか、話し合ってもらいました。前回の記事はこちらから。

座談会に参加してくれた高校生記者

Aさん(2年)

国公立の進学校に通う。英語は苦手。先生たちが英語を理解しきれていないように感じている。

Bさん(3年)

私立の進学校に通う。英語は得意。周りは「受験のためだけに」英語を学ぶ人が多い。実際に英語を話す機会がほしい。

Cさん(2年)

国公立の進学校に通う。英語は得意。受験のためだけではなく、楽しく英語を学びたい。

ただ海外をまねしてもうまくいかない

―今日本は英語教育をより推進しようと動いていますが、皆さんの意見はどうですか?

B 「4技能」を取り入れようとしたりしていますね。今後英語教育がどうなっていくのか少し不安です。

日本の英語教育が全てダメだとも思いませんし、海外の英語教育を完璧にまねしても上手くいかないと思います。

B 学校でたまに英語で自分の尊敬している偉人や好きなものについてスピーチをする機会があります。

そのような機会が幼い頃から増えれば、英語を話すことへのハードルが下がるのかなとも思いました。

―最近では小学校でも英語教育が本格的に始まっていますね。

C 私は正直、反対です。私の小学校ではプライベートで英語を習っている児童しか理解できない授業だったので、意味がない授業だなと感じていました。

B 私の小学校では、フォニックス(発音と文字の関係性を学ぶ学習法)や歌をずっとやっていました。英語ができなくても理解できる授業でしたが、微妙でした。英語へのハードルを下げるのには役に立ったのかもしれませんが。

A ちなみに私は3歳から7年間英会話に通っていましたが、ほぼ効果はなかったです(笑)。むしろ小さい頃から英語に触れていたので英語が嫌になってしまいました……。

B それもありますよね。幼い頃から英語に触れて英語が大好きになっている友人もいますが、嫌いになってしまっているケースもよく見ます。

英語の勉強を早く始めればいいというわけではない

学校の授業は苦手を植え付けている

―好きになれるか、なれないかは大きいですよね。

C かなり大きいと思います。「好きこそ物の上手なれ」というように、好きだからこそもっとできるようになりたいと思えるようになり、英語が得意になれると思います。

B 英語がいくら苦手でも、洋楽や洋画が好きで、英語を自主的にも学び始めたという友人もいるので、好きになることが重要ですね。今の英語の授業は、どちらかというと苦手意識を植え付けている気がするので……。

A 分かります。一番英語に触れる機会が多いのは学校の授業ですからね。

C 英語の先生で、授業のときに洋楽を紹介してくださる先生がいるのですが、その先生の授業がきっかけで英語が好きになった生徒は多いみたいです。

B その先生私も教わりたいです……! いいですね。

―洋楽を取り入れたら確かに親しみがわきそう。

C はい。すごくいい授業だと思います。「英語を楽しんでほしい」という先生の気持ちが伝わってきて、生徒側もすごく楽しいと感じることができる授業だと思います。

B 本当に先生によりますね。実感しています(笑)。「英語を楽しんでほしい」という思いを持っている先生は素敵ですね。英語をきちんと理解して、英語が好きで、「生徒に英語を教えたい!」という熱意がある先生が増えてくださるといいですね。

英語を「話せるようになる」授業を

―英語を「話す」という点では、皆さん自信はありますか?

C 私は3歳から13年間、習い事で英語をやってはいたので、英語へのハードルは低いと感じています。ですが、それでも自分の英語力の低さを実感します。

楽しいとは思うのですが、実際に人と話してみるとすぐには文章が思い浮かばなくて……。話している途中で何度も詰まってしまいます。

A すごく分かります! スラスラと出てこないんですよね。

C 問題集を解くときは結構スラスラ出てくるのですが、実際に話すとなると上手く話せないです。

B 私は小学校6年間英会話に通い、英検準1級を取得しました。それでも、留学したときは何も話せませんでした……。

留学から帰ってきて、初めて英語が話せるようになったので、英語を話せるようになるまで本当に難しいと思います。

A 日本の教育が、リスニングとスピーキングよりライティングとリーディングを中心にしているからなのでしょうか……。

―やはりそこにも教育の問題がありそうですね。

B 中学受験で英語を使うところも増えてきたので、さらに英語が受験に特化して日常生活では使えないものになっていくのかなと思います。

C いくら受験でできたとしても、海外で話せるようにならないとそれはどうなのかと思います。

私は中学受験のときに国語、算数、英語の3科目入試で受けたのですが、「英検4級レベル」となっている割には簡単すぎるなと感じました。そういうところも教育のレベルの低さにつながっているのだと思います。

B 「英語教育の目的が何なのか」も重要かなと思いました。大学受験が長文読解などを重視しているから、学校の教育もそれに沿った形になるのかなと。

これ以上、国に振り回されたくない!

―大学が英検やTOEFLなどを受験に取り入れ始めたことについてはどう考えますか?

B 個人的にはいい動きかなと思います。ですが受験料が高く負担になってしまうので、あれは選択肢の一つかなと思います。

C 今はコロナ禍の影響もあって英語の試験があまり受けられないので、その点への配慮はあるといいなと思います。受験料はまた値上がりしたみたいですし、かなり負担は大きいと思います。

―2019年は、大学入学共通テストに民間試験を利用する方針でしたが、一転して取りやめになりましたね。

B 大学も国も試行錯誤ですよね。本当に大変だと思います。

A そうですよね。ただいろいろ試すのはいいですけど、その分、振り回されるのは嫌ですね。

C 突然方向転換されるのは高校生としては迷惑だなと感じます。

これ以上私たちを振り回さないで!

B 振り回されるのは大変です。これだけ振り回してきたので、これからの英語教育が良い方向に進んでいくことを願うばかりです。グローバル化が進み、どんどん英語を使っていく機会が今後増えていくと思うので。

C 英語が話せないと、この先苦労することもたくさんあると思うので、みんなが話せるようになる授業をしてほしいですね。

A 本当にそう思います。将来に役立つ、楽しい授業が行われるようになるといいですね。

B 私たちの切実な願いですね……。