人気アイドルグループ「日向坂46」のメンバーの小坂菜緒さんは、グループ活動と並行して女優やモデルとしても活躍中です。さまざまなステージで輝きを放つ小坂さんが、4月から始まった新生活の心構えや緊張を和らげる方法など、高校生からの質問に答えてくれました。(文・中田宗孝、写真・幡原裕治)

キャラ作らず自然体で過ごして

―高校生から「新学期、新しいクラスメートと早く打ち解けるためにはどうすればよいと思いますか?」と悩みが寄せられました。アドバイスをお願いします。

無理することなく、自分らしく自然体で過ごすのが良いと思います。

 

私は普段、グループ(日向坂46)の中で日々活動していますが、変に自分を繕ってキャラを作らずに自然体で過ごしているんです。「メンバーと仲良くしなくちゃ」「輪に入らなきゃ」と思いつめるのではなく、自分が楽しみたいときにメンバーと一緒に楽しみ、盛り上がります。

自然体で過ごすことで、新しいクラスメートと自然と仲良くなったり、いつのまにか自然に会話できたりするはずです。4月からの新生活でも、きっと大丈夫です!

自分は一人じゃないと思い続ける

―続いての高校生からの質問です。「部活の大会や失敗できない試験などでいつも緊張してしまって思うように力が発揮できません。小坂さんはステージに立つとき、どうやって緊張を解いていますか?」

私は必ずといって良いほど、ライブ前は緊張するタイプです。

開演まではずっと気持ちがソワソワしてしまうのですが、緊張をほぐすルーティンとして自分の体をたたいています。メンバー同士でお互いの背中をたたきあうこともあります。直接的な刺激を与えて、緊張を緩和するようにしているんです。

そして、「自分は1人じゃない」と思うようにしています。仲間がいる。家族がいる。

決して自分1人ではないという思いを持ち続けることによって、グループ活動を楽しんでいます。

―高校生のうちにやっておいた方がいいことはありますか。

高校生は、小学生からの学校生活を過ごす最後の3年間。10代の最後でもあります。難しく考えずに、自分が「やりたい!」と思うことに挑戦してください。

なかには、「やりたいことがあるけど自信ない……」という方もいるかも知れません。でも、やってみないことには、自分に合う合わない、楽しいか楽しくないか、分からないことがあります。

マイナスな気持ちになる自分に負けず、一歩踏み出すことが大事だと思います。

恐怖心と闘いジャンプ台へ

―映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」でテストジャンパーの役を演じるうえで、この競技ならではの技術練習に取り組みましたか?

劇中では、私たちがトレーニングする様子が描かれます。そのため、専門のコーチの方に教わりながら、スキージャンプ時の低い姿勢や、滑る最中に体勢を崩さないため体幹を鍛える練習をしました。

 

スキージャンプ競技で使用するジャンプ台の上での撮影もありました。本当にわずかな距離ですが、滑り出すシーンは自分で演じているんです。もちろん、安全のためにワイヤーを体に付けているけど、スタート位置の高さに驚き「滑り出せないかも……」という恐怖心にかられて、相当な勇気が必要でした。

―小坂さんが演じた役は、「1998年長野オリンピック」に現役女子高校生のテストジャンパー(ジャンプ台の安全性を確かめる裏方のスキージャンパー)として実際に参加した吉泉賀子(旧姓:葛西賀子)さんという方がモデルとなっています。撮影中、その方と直接お会いしたそうですね。

そうなんです。長野オリンピック参加前に大けがをしてしまったこと、それで家族や周囲に止められたけども「自分は絶対に飛びたい!」と思ったことなど、当時のエピソードをうかがいました。今の私と同世代でオリンピックにかけていた方の気持ちを知り、心から「すごいな……」と。

 

そして、お話をうかがっていると、スキージャンプという競技が大好きで、けがをしてでも怖がらずにテストジャンパーとして飛んだ心の強さを感じました。

私自身、今回の作品では男性俳優の方々の中に女性一人まじっての演技となったのですが、「臆することなく、若さを前面に押し出して思いきりやろう!」という心構えにさせていただきました。

―裏方テストジャンパーの方の話を聞いて、演技面にも役立てたのですね。

はい。その方から、自分の夢に向かって決してあきらめない気持ちも感じました。

私はグループの活動に一番の情熱を注いでいます。ですがコロナ禍により、有観客でライブができない状態が続いています……。今までのような活動ができない中、どうやってファンのみなさんに楽しんでもらおうとか、どうすればみなさんと近い距離でいられるかと考えるようになったんです。

一つ、強く思ったのは「あきらめない気持ち」。その気持ちをより一層抱いてグループ活動を取り組んでいこうと。そして、私たちを応援してくださるみなさんにたくさんの元気や笑顔を届けていきたいんです。

ヘアメーク・今泉里佳子 スタイリスト・市野沢祐大(TEN10)

こさか・なお

2002年9月7日生まれ。大阪府出身。2017年、オーディションに合格してアイドルグループ「けやき坂46」2期生に参加。2019年、「日向坂46」の一員として、デビュー曲「キュン」からシングル4作連続でセンターを務める。グループ活動と並行して、女優、ファッション雑誌「Seventeen」の専属モデルとしても活躍中。

映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」

 

1998年、長野オリンピック。スキージャンプ競技「ラージヒル団体」で日本チームは決勝へと進む。だが猛吹雪により、競技が中断。審判団は、ジャンプ台の安全を確かめるテストジャンパー25人のジャンプ成功を競技再開の条件とした。金メダルを目指す日本チームの運命は、日本代表から落選して裏方のテストジャンパーをする西方(田中圭)や、女子高校生スキージャンパーの賀子(小坂菜緒)たちに託される……。配給:東宝。近日公開。(C)2021 映画『ヒノマルソウル』製作委員会