地道な基礎練習で育んだ美しい音色で、今夏の吹奏楽コンクールに臨む愛知淑徳高校吹奏楽部。「自分も聴き手も楽しめる演奏」をモットーに、一人一人が自主的に音楽に取り組んでいる。 (文・写真 木和田志乃)
部の目標は、毎年8月の吹奏楽コンクール愛知大会での金賞受賞と、3月に開催する定期演奏会「ファミリーコンサート」の成功だ。
コンクールで演奏する曲目はもちろん、本番前の合宿では、部屋割りや食事のメニューも部員が決める。定期演奏会の衣装は自作、パンフレットに掲載する広告も部員が取ってくる。加藤聡美さん(2年)は「どちらも何カ月もかかって準備するので、終わった後は達成感があります」と話す。
8月のコンクールに向け、練習に熱が入る。「コンクールの結果が3月の定期演奏会のお客さんの数を左右します。昨年の成績(愛知県大会銀賞)を上回る金賞が目標です」(加藤さん)
安定した音量や音程で吹けるように、練習時間の半分を、長く息を吹き続けるロングトーンなどの基礎練習に当てる。休日は顧問の伊藤慎悟先生が指導することもあるが、平日は部員だけでパートごとに分かれて練習する。
合奏は月に2回、校外の先生から指導を受ける。「この辺に音を集めて」といった先生の指示を部員が理解できず、音が揃わないこともある。そんな時は先生も何度も言い回しを変え、部員も試行錯誤する。部長の青木沙也果さん(2年)は「その過程で音楽が劇的に変わる瞬間があるんです。それが一番楽しい」と目を輝かせる。
伊藤先生が「主体的に練習して、日に日に進歩していく楽しさを感じてほしい」と見守る中、「全員が自覚を持って部活に取り組んでいる」と話す青木さん。
その成果を発揮する大会まで、あと少しだ。