28年ぶり3度目の優勝 ウインターカップの悔しさ晴らした
8月7日に千葉県船橋市の船橋アリーナで開催された全国高校総体(インターハイ)バスケットボール男子決勝。福岡大学附属大濠(福岡)は、昨年冬のウインターカップ(全国高校バスケットボール選抜優勝大会)決勝で敗れた明成(宮城)と対戦し、74-53で勝利。28年ぶり3度目のインターハイ優勝を手にした。
序盤からフルスロットルだった。各クオーターのスコアは26-18、17-7、14-14、17-14。一度もリードを譲らず勝ちきった。
U-17世界選手権の影響で、決勝戦はスタメンでポイントゲッターの牧隼利(2年)=埼玉・原山中出身=を欠いた。だが、寮や宿舎で牧と相部屋だという中村太地(2年)=山口・福川中=がそのバックアップを見事に果たした。
明成のゾーンディフェンス崩す
峯聡太コーチが要注意選手と目した明成のシューター、三上侑希(2年)=北海道・東海大四中出身=は鳥羽陽介主将(3年)=静岡・静岡大成中出身=と中村が好守。ウインターカップのときに完全に得点を止められた明成のゾーンディフェンスを、増田啓介(2年)=静岡・静岡大成中=の絶妙な位置からのミドルシュートなどで打ち崩すことができた。
さらに、1年時から主力として活躍してきた津山尚大(3年)=沖縄・北谷中出身=は19得点、19リバウンドの「ダブルダブル」の活躍。試合の結末が見え始めてきた第4ピリオド終盤になっても、「最後は大濠らしく終わりたいと思った」と大きな声でチームメイトを鼓舞し、フロアリーダーとして気迫のあるバスケットを最後まで貫いた。
「船橋アリーナ」の呪縛解けた
片峯コーチは、高校3年の夏に同校の主将として船橋アリーナのメーンコートで決勝戦を戦い、3点差で敗れている。選手たちは昨年冬の悔しさに加えて「先生の借りを返したい」(鳥羽)という思いでこの大会に挑んだ。「船橋アリーナ」と「明成との決勝戦」。指導者と選手それぞれの呪縛が解けた、会心の勝利。毎年「優勝候補」と言われながらあと一歩のところで泣いてきたチームは、この夏ようやく喜びの涙をほとばしらせた。
(文・写真 青木美帆)