私は、両親と姉と弟との5人家族です。とても仲のよい家族で、私はずっとこの家が大好きです。約7年前、私が小学5年生の頃、父が心の病気を患ってしまいました。病名は双極性障害(躁うつ病)です。私たち家族が父の病気とどう向き合ってきたのかお話ししたいと思います。(高校生記者・ten2年)

心の病気と向き合う

元気が失われた父、どう接してよいか分からず

父が心の病気になったと初めて母から聞いたとき、信じられませんでした。幼かった私には、それがどんな病気か分かりませんでしたが、時が経つにつれ、雰囲気で分かってきました。

父にどのように接したらいいのか分からず、次第に父との会話も少なくなっていきました。父はますます元気がなくなり、人と関わりたがらなくなりました。一人でぼーっとすることが多くなっていきました。

私たちは父が喜んでくれることを探した

私たちきょうだいは、このままではダメだと思い、父が喜んでくれることはないかと毎日毎日話し合い、それを実践しました。アロマを焚いて肩を揉んであげたり、一緒にキャッチボールや散歩をしたり、カフェ巡りをしたりと、とにかくいろんなことをしました。

そのたびに父は笑顔を見せてくれました。その笑顔を見ると、とってもうれしい気持ちになりました。父が病気にならなければ、作ることのできなかった思い出ができたと思います。

父とのカフェ巡りは大切な思い出

簡単に治らないけれど家族みんなで向き合えた

今はまだ、父の病気は完治していません。ですが、一歩一歩完治に向けて歩んでいます。

心の病気に対して、まだまだ理解が足りない世の中で、つらい思いをたくさんしてきた私たち家族は、きょうだいの絆や家族を思う気持ちだけで、たくさんの困難を乗り越えてきました。

心の病気は、簡単に治ることはありません。焦らず、のんびり、とにかく父のペースで、家族全員が足並みをそろえて向き合っています。病気を患ってからの父には、笑顔が減るなど、多くの変化がありましたが、私たち家族を思う気持ちだけは変わっていません。

つらい思いもしたけれど、人に優しくなれたり、ささいな変化にも気付けたりと、父のおかげで人として大きく成長できました。この家に生まれてくることができて、本当によかったと思います。

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