新型コロナウイルスの感染拡大防止のための休校が続いたことで、授業の遅れや生活リズムの乱れなどに不安を感じている人も多いのではないでしょうか。医師として受験生のメンタルケアに取り組む吉田たかよし先生に、高校生から寄せられた悩みへのアドバイスを聞きました。
お悩み:行事も部活の大会も中止。落ち込んでしまってつらい
文化祭や体育祭、部活の大会……新型コロナウイルスのせいでそれらが全て中止になってしまいました。最高学年になり、行事の運営や部活動の大会で成果を上げられるように頑張りたかったのに。仕方がないとはいえ、楽しみがことごとく奪われて悔しくて悔しくて、ずっと気持ちが落ち込んだままです。日々の生活の中で、少しでも前向きになれるようにするには、どうすればよいのでしょうか。
自分の意志でコントロールできることだけを考えて
物事には、自分の意思でコントロールできることと、コントロールできないことがありますよね。自分の意思ではコントロールできないことに目を向けると無気力になるという研究が発表されています。
難しいかもしれませんが、自分の意思でコントロールできること「だけ」を考えるように、考え方の癖を直していくことがいまあなたができることだと思います。
新型コロナウイルスの感染がどのくらい広がっていくのか、それに伴って部活動の大会や学校行事がどうなったかといったことは、自分の意思ではコントロールできないことなので、できるだけ考えないようにすることが大切です。その代わりに、今、自分がやるべきことに意識を集中させましょう。
部活動であれば、大会は中止になってしまったとしても、それに代わる練習試合などの予定が組まれているケースも多いのではないでしょうか。その場合、どうすればその試合で力を発揮して完全燃焼できるかというところに意識をむけ、やるべきことを考えてみましょう。
自分の意思でコントロールできる範囲の中で、具体的にこうしてみようという目標を持てれば、より積極的な姿勢で次の一歩を踏み出せるようになります。こうしたメンタルコントロールは前向きに人生を歩んでいくためにとても大切なことなので、コロナ禍を機に、身につけておけるといいですね。
吉田たかよし先生
よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医師。「本郷赤門前クリニック」院長として、脳科学と学習医学を活用して受験生の心身をサポート。学習塾「浜学園」のホームページで、勉強法や合格を勝ち取るための食事のレシピなどの動画を公開中。
https://www.doctor-yoshida.net/