あなたにはコンプレックスがありますか? 今回は親指の形がコンプレックスだという高校生に、それをどう乗り越えたかについて語ってもらいました。

からかわれる自分の親指を隠して暮らす

「うわ、キモッ」

中学生のころ私の親指を見た人がそう言った。私の片方の親指は平らにつぶれた形をしている。およそ1万人に1人に先天的に現れる、「まむし指」と呼ばれるものだ。

ゆっぴーさんの指

この指が本格的な「からかい」の対象になったのは中学の時だ。そのころ国語の授業で、戦時中の日本で指を木槌(きづち)でつぶされた修道士の話を習っていたので、この指は余計にからかわれた。

私は自分の指が変なのだと気づき、次第に「この指さえなければ」と思うようになった。人前で自分の親指を隠すようになったのもそのころだ。

「1万人に1人」の貴重な指

中学を卒業した時、私は自分の指についてネットで調べた。先天的なもので、治すことはできないと知った。だが、それと同時にこの指と一生付き合っていかねばならないことも悟った。

そこで、まず自分の気持ちを変え、この指を自分の個性だと思うようにした。自分がこの指を認めなかったら、他人が認めるわけがないからだ。親からもらった、「1万人に1人」の貴重なもの。大切にしようと決意した。

私自身が私をいじめていた

意識を変えて高校に入学した。指について質問されることはあっても、私が「1万人に1人に現れる、生まれ持った貴重なものだ」と誇らしげに言うと、だれもあざ笑わなかった。むしろ「すごいね」と声をかけてくれる人までいた。

私が気づいたもの。それは私をいじめていたのは、私自身だったってこと。自分の気持ちを変えることで周りの反応が変わることがあるということ。もし悩んでいる人がいたら、ぜひあなたの「貴重なもの」を、大切にしてほしい。(ゆっぴー=3年)