野球では、投手の配球として「無難に外角一辺倒」という考え方がある。批判も多いが、2013年には外角一辺倒の配球が目立ったプロ野球の楽天が日本一になった。野球観戦が好きな観音寺第一高校(香川)の三宅純矢君、荻原志音さん、佐薙喬太君(ともに3年)は、外角一辺倒で本当にアウトが取れるのか疑問に思い、研究を始めた。(木和田志乃)

アウトが取れる配球のパターンを探った

バッターからの距離や球速、球種などの投球データを用いて、アウトが取れる配球パターンを統計的に分析した。

「研究を始めてから野球観戦の時に配球が気になるようになった」という3人

初めに、全チームから被安打率、被本塁打率や与四死球率、投球回数などを基に、捕手の指示通りに投げられる投手を抽出。プロ野球の2015年シーズンの全投球を分析した。

初球も最終球も、外角の場合は高い確率でヒットを打たれるなど、外角球を中心にした配球ではアウトが取りにくくなっていた。そこで毎年、配球のトレンドが変化していると考えた。

13年から19年までの全投球からアウトになる確率が上がった配球パターンを取り出し、高さや球種も合わせて分析した。すると、最終球が7年間の間に徐々に低くなり、特に外角低めのスプリット(落ちる変化球)でアウトが取れる確率が高くなったことを明らかにした。

統計的に分析する面白さを知った

「分析手法を理解することもプログラミングも言語を一から学んで作るのも難しかった」(三宅君)。思うような結果が得られず「毎日、手当たり次第だった」という。

しかしある時「(人気アプリの)Akinatorが使えるのではないか」と気づいた。Akinatorは15個ほどの質問にYES、NOで答えて回答者が想像している人物を当てるアプリだ。答えを絞っていく方法を応用した。

三宅君は「チームごとに分析すればそれぞれの特徴が出ますし、球種や球速も含めて分析すれば新しい結果が出ると思います。配球のトレンドがあるとしたら、その波を予測したい」と今後の課題を挙げ「ごった返したデータの中から規則性を見つけ出すのが楽しい」と話した。

3人が作ったポスター