校内模擬国連で「フィリピン大使」としてスピーチする米野君(学校提供)

公文国際学園(神奈川)の米野(よねの)謙君(3年)は、両親の仕事の関係で、生まれたのはフィリピン。マニラなどで14年間暮らし、帰国後、高等部1年に編入した。フィリピンで生活した経験を生かし、少数民族の言語をテーマに研究している。

フィリピン各地を訪れたことがあり、少数民族に対する教育支援に強い関心を持ち、「現地語は全滅の危機」と訴える。SGHの課題や目的と自身の思いは重なり、取り組む姿勢は模範生といえる。

高校2年生の夏休みには、ベトナムでフィールドワーク。50を超える少数民族がいて、標準語を理解できない実態に触れた。「現地語を3年学んだ後、標準語に移行するという試みがあります。その必要性を実感しました」

英語弁論大会で訴え

積み重ねた知見を生かし、昨年11月の第5回上智大学全国高校生英語弁論大会で優勝した。話したテーマは「Diversity in Globalization」。全滅しつつある少数民族の言語保護を強調、将来はそのためのNGOを立ち上げたいという信条を示した。

同校では年2回、日本語と英語による校内模擬国連(MUNK)を開催している。生徒一人一人が国の代表にふんし、議論を交わす。参加は100カ国以上という本格的な会議だ。米野君は、同校がMUNKに取り組んでいることから編入を決めたという。

MUNKでは、フィリピン大使、アメリカ大使、議長を〝歴任〟してきた。英語とタガログ語を操る。フィリピン時代から家庭で親しみ、独学をしてきた日本語会話も全く問題ない。次はフランス語を会得したいという。

(木部一成)

■2014年からSGHに指定。高校1年生で必修の「プロジェクトスタディーズ」などで、生徒自身がテーマを設定し、掘り下げて探求する。