全国屈指を誇る桜花学園のディフェンスを巧みに突破し、20得点を挙げた高田静(青木美帆撮影)

■大黒柱けがで欠く

12月23日に東京体育館で開幕した全国高校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)。山形商(山形)は大会前の12月初旬に大きなアクシデントに見舞われた。インサイドの大黒柱である後藤沙奈(3年)=宮城・中新田中出身=がアキレス腱断裂の大けがを負い、出場できなくなったのだ。
 
  しかし、急遽スタメンとなった吉住桃花(2年)=山形・鶴岡二中出身=の奮闘もあり、1回戦の鹿児島純心女子(鹿児島)戦を88-64で快勝。24日に行われた女子2回戦ではディフェンディングチャンピオンの桜花学園(愛知)と対戦した。エースで司令塔の高田静(3年)=福島・白河中央中出身=が20得点の活躍を見せたが、他の選手の得点が伸びず46-65で敗北。しかし、持ち味である粘り強いディフェンスで高校女子バスケ界の女王を70点以下に抑え、19点差。大黒柱抜きでのこの結果は健闘と言っていいだろう。高田に話を聞いた。
(文・写真 青木美帆)

―試合が終わっての感想を教えて下さい。
 前半はついていけてよかったのですが、第3ピリオドは出だしが悪くて。桜花に走られてリバウンドを取られて、流れを崩されてしまいました。自分自身はドライブで攻めることはできたのですが、気持ちに余裕がなくて外のシュートを決められなかったことが悔やまれます。点差が離れたときに自分がムキになって攻めすぎてしまったことで、チームのオフェンスを崩してしまったのかもしれません。終わってみれば桜花相手に19点差でよく頑張れたなと思う部分もあるのですが、でもやっぱり勝ちたかった。複雑な気持ちです。
 
――後藤選手がけがで出られなくなったことで、チームにはどのような影響が出ましたか?
 私自身は一度も下を向いたことがないです。「負けちゃうのかな」とか「厳しいな」と思ったこともありません。後藤が抜けてスタメンになった吉住は今まで試合に出る経験がなかったのに、できることをすごく頑張ってくれる選手でした。精一杯やってくれることが自分にとっては一番うれしいことだったので、「後藤がいなかったらダメだな」と思ったことはなかったです。
 
――中学の後輩にあたる遠藤桐選手(2年)とマッチアップする時間帯もありましたね。
 公式戦でマッチアップしたのは3年間で初めてです。練習試合で対戦した時も今日も、彼女が交替で出ると必ず自分を守ってくるので……意識されてるのかなぁと(笑)。でも、こういう全国の舞台で同じチームだった後輩とマッチアップできるっていうのはなかなかない体験なので、すごくいい思い出になりました。親にも喜んでもらえたと思います。
 

中学の後輩である遠藤桐(左)とのマッチアップが高校3年間で初めて実現した(青木美帆撮影)

――高校3年間はどんな思い出が詰まっていますか?
 全国で上位に入りたいから山商に入ったんですけど、一度もできずに終わってしまってすごく悔しいです。でも1年のころから試合に出させてもらって、いっぱい経験をして、U-18に選ばれることもできた。それは山商に入らなきゃできなかったことだと思っています。高橋(仁)先生は、自分のダメなところやいいところをはっきり教えてくれるので、そこを意識することで成長できたと思います。