1月の全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)女子で2連覇を果たした金蘭会(大阪)がインターハイ大阪府予選を制した。春高メンバーで日本代表登録選手の宮部愛芽世(あめぜ)を中心に5年ぶりのインターハイ優勝を狙う。(木和田志乃)

1月の春高優勝メンバーであるキャプテンの宮部愛芽世(春高の決勝=幡原裕治撮影)

緊張する部員に「楽しもう」

春高バレー後にスタートした新チームに残った優勝メンバーはキャプテンの宮部のみ。3月末に行われた全国私学大会は準優勝だった。「私自身が先輩についていくというタイプだったんで、チームを引っ張っていくのは難しかった」と振り返る。

金蘭会は最高到達点が3メートルを超える宮部の攻撃力が注目されるが、ブロックで相手の攻撃を断ち、レシーブで粘るバレーが本来の持ち味だ。しかし全国私学大会後、宮部は「ブロックとレシーブが例年より劣っている」と分析。その練習に時間をかけてきた。

私学大会決勝での敗戦を「新チームになって初の公式戦のセンターコートで選手は緊張した。気持ちの面での負け」と感じた宮部には、府予選の前も、部員たちが「勝たなければ」とプレッシャーを受けているように見えた。そこでまずは「バレーボールができることに感謝して、しっかり楽しもう」と声を掛け、さらに「金蘭会は普通だったら相手が挑んでくる側のチームでチャレンジャーではない。だけど勝ってきたのは先輩たち。自分たちは金蘭会の名に相応するプレーはまだできない。全てのチームを『自分たちよりうまい』と思い挑戦する気持ちを持って頑張ろう」と鼓舞した。

1点1点、切り替え集中

そして迎えた大阪府予選。トーナメントを勝ち上がり、ベスト4リーグの最初の2戦は1セットも落とさぬ完勝。最終戦は同じく2勝の強豪・大阪国際滝井と対戦した。

第1セットは25対15で先取した。第2セットは金蘭会の緩急をつけた攻撃に大阪国際滝井はレフトからの強打で対抗。マッチポイントを迎えると「最後の最後に2年生がブロックで止めてくれました」。25対22で勝ち、大阪1位でインターハイ出場を決めた。

池条義則監督は「(これまで)追いつかれると、そのまま崩れることも多かったが、ベスト4リーグの2日間は集中力を切らさず戦えた」と選手たちの成長をたたえた。宮部は試合中、「切り替えよう」と声を掛け続けた。「得点しても、次も得点できると決まったわけではない。逆も同じ。『1点1点、目の前のことに集中しよう』。それがいい声掛けになったと思います」

インターハイ優勝を目指す金蘭会の選手たち(木和田志乃撮影)

日本一のプレーを

全国私学大会後、インターハイの出場権を取るために、府予選で勝つことを目標に練習を積んできた。宮部は「大阪で一番のブロック、レシーブができた。全国では背の高い選手が増えるので、次は日本で一番のブロックとレシーブができるように強化していきたい。私自身も春高や(日本代表として)日の丸をつけてのプレー経験があるので、他のチームの3年生と一緒ではいけないという意識を持っている。メンバーにいい影響を与え、そして全国制覇したい」と意気込んでいる。

チームデータ

2007年創部。部員24人(3年生4人、2年生12人、1年生8人)。15年、18年、19年に春高バレー優勝。2014年度はインターハイ、国体、春高バレー3冠。宮部愛芽世の姉で元日本代表の宮部藍梨、JTマーヴェラスの林琴奈ら多数の選手を輩出。