海外研修で生じた疑問

日本の水道水は飲用可能であるにもかかわらず、水を店や自動販売機で購入して飲んでいる日本人は多い。東洋大学附属牛久高校(茨城)の篠田希実さん(3年)は「私も普段ペットボトルの水を買って飲んでいましたが、海外研修でオーストラリアに行き、水が飲めない国があることを知りました」と振り返る。

篠田希実さんと青木優菜さんは昨年、茨城県で開かれた世界湖沼会議にも参加。その成果をSGH甲子園(3月、関西学院大学)でも発表した

日本の水は飲めるのに飲まない。その理由を知るために篠田さんと青木優菜さん(3年)は水道水をテーマに研究を始めた。同校生徒1418人にアンケートを取ったところ、7割の生徒が水道水を飲んでいなかった。「飲まないように言われた」「危険」「おいしくない」などをその理由として挙げた。

費用をかけて浄水しても…

昨年9月、県内の浄水場に出向き飲料水の安全性について聞いた。その時に飲んだ水は無臭でおいしかった。しかし、アンケートではにおいが気になると回答した生徒も多かった。浄水場から最も遠い家庭に安全な水を届けるために品質を維持する薬品の添加がその原因だ。薬品は無害だが、浄水場近くの家庭ではにおいが残ることもあるという。

水道管が老朽化すれば取り替えなければならない。安全な飲料水を供給するために日本は多額の費用と時間をかけて浄水している。「水道水を飲めるのは当たり前ではないんです」と篠田さんは力説する。

安全性とおいしさ広めたい

今後は「水道水が無駄にならないよう、水道水の安全性やおいしさを小学校への出張授業で伝えたい」と青木さん。さらには、既に国内の各自治体が諸外国で安全な水道の普及に向けて技術支援などの尽力をしているが、さらに降水量が少ない、鉱物の含有量多いなど、飲料に適した水が得られにくい海外の地域との連携も自治体や企業に提案したいという。

(文・写真 木和田志乃)