良い成績を保っていたのに、受験生になったら成績が下がってしまった……心療内科医の吉田たかよしさんに対策を聞いた。(安永美穂)

Q. 高校3年生になってから、急に成績が下がってしまいました。スマホの使いすぎには気をつけているのですが、他にはどんな原因が考えられますか?

A. 丸暗記中心の勉強法や睡眠不足、部活引退による運動不足も、成績が下がる一因に。

 

高校2年生までは成績が良かったのに、高校3年生になってから急に成績が下がり、悩む受験生は少なくありません。もちろん、スマホの使いすぎは成績を下げる原因となりますから、心当たりがある場合は、目的を明確にした正しい使い方に切り替えていく必要があります。ただ、ほかにもいくつかの原因が考えられるため、自分の場合は何が原因なのかを探り、それに合った対策をしていくとよいでしょう。

丸暗記をやめ、自分で考えるプロセスを大切に

まず考えられるのは、高校2年生までは、定期テスト前にポイントを丸暗記するような勉強をしてきて、「自分の頭で考える」という勉強法を実践できていないケースです。

この場合、範囲が限定される定期テストは乗り切れても、大学入試で問われる思考力などは身につきにくいといえます。この場合は、「なぜそうなるのか」を自分で考えたり調べたりすることで知識を定着させていけるように、勉強法を見直してみるとよいでしょう。

頑張りすぎによる睡眠不足が不調を招くことも

他によく見られるのは、「受験生になったのだから頑張らなくちゃ!」と、高校3年生の4月から無理なペースで勉強を頑張り続けてきて、睡眠不足に陥っているケースです。睡眠不足によるダメージはやや遅れて出てくることが多いので、急に成績が下がったときはこれまでの生活を振り返り、十分な睡眠がとれるように生活リズムを改善することを心掛けましょう。

部活を引退した人は運動不足に注意

運動部で日常的に体を動かしていた人が、部活を引退して運動不足になると、体を動かすことで保たれていた心身のバランスが崩れてメンタル面に不調をきたし、引退から3カ月後くらいに成績が下がることがあります。運動部を引退した人は、通学時にかばんをリュックに変えて、自宅から駅、駅から学校までを走るようにしたり、昼休みに校庭で体を動かしたりすると、精神を安定させる脳内情報伝達物質が分泌され、勉強にも良い影響をもたらすことが期待できます。

 

吉田たかよし さん

よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医。本郷赤門前クリニック院長。脳科学と学習医学を活用して受験生の心身のサポートを行う。著書多数。

 

 

『脳科学と医学からの裏づけ! スマホ勉強革命』(青春出版社、税抜1380円)

 勉強の敵と思われているスマホ。上手に使えば集中力や記憶力などを高めることができる。脳科学に基づいたスマホの使い方がわかる。

『「ついつい先送りしてしまう」がなくなる本』(青春文庫、税抜690円)

 期限を守れない、面倒だと後回しにしてしまう……。それは脳に先送りの癖がついているから。脳の癖に気付いて改善できる方法を知ろう。