Twitterで悪口をつぶやく裏アカウント「愚痴垢」を持ってはいないだろうか? 心療内科医の吉田たかよしさんに愚痴垢を使った際の脳への影響を聞いた。(安永美穂)
Q. Twitterに愚痴アカウントを作って悪口をつぶやいているのですが、気分が晴れません……。
A. 怒りの感情を強く出すと、より悪意を感じやすくなるように。思いを吐き出すなら非公開で。
Twitterに悪口を書き込むのは、自分のモヤモヤした思いを吐き出すのと同時に、悪口を言うことで相手にダメージを与える「懲罰」の行為でもあります。その場では「スッキリした」と感じるかもしれません。
でも、長期的に考えると、裏アカウントで悪口を言うというひきょうな手段を取っていることへの後ろめたい気持ちが募ります。こうした感情は、脳の中で怒りを作り出す働きをしている「扁桃体」をより刺激するため、相手への不満や悪意をさらに感じやすくなるといった悪影響の方が大きいといえます。
「愚痴垢」でつぶやくことでフォロワーにいいねやコメントをもらえると、「悪口に共感してもらえた」と感じることもあるかもしれません。ですが、この場合はTwitterに集う人たちが皆で悪口の対象となっている人の名誉を毀損(きそん)することで懲罰をしているのであって、本当の「共感」が得られているわけではありません。そのため、愚痴アカウントでのつぶやきで、穏やかな精神を取り戻すことは困難でしょう。
公開せずに読み返すと自己分析のきっかけに
自分の不満などを吐き出したい場合は、書いたことを閲覧できるのは自分だけにして「公開しない」ことがポイントです。公開しなければ、それを読み返したときに自分自身と対話ができ、対処法を考えたり、ネガティブな見方をポジティブに変えたりすることが可能になります。スマホは他人を攻撃するツールとしてではなく、自分の感情を振り返り「どうすればよいか」を冷静に分析するきっかけとして賢く活用できるといいですね。
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吉田たかよし さん
よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医。本郷赤門前クリニック院長。脳科学と学習医学を活用して受験生の心身のサポートを行う。著書多数。
『脳科学と医学からの裏づけ! スマホ勉強革命』(青春出版社、税抜1380円)
勉強の敵と思われているスマホ。上手に使えば集中力や記憶力などを高めることができる。脳科学に基づいたスマホの使い方がわかる。
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期限を守れない、面倒だと後回しにしてしまう……。それは脳に先送りの癖がついているから。脳の癖に気付いて改善できる方法を知ろう。