スマホを使って集中力を上げる方法を、心療内科医の吉田たかよしさんに聞いた。(安永美穂)
Q. 勉強への集中力を高めるのに効果的なスマホの使い方は?
A. タイマー機能で制限時間を設け、時間当たりの勉強量を記録しよう。
集中力が発揮できない状態で「ダラダラ勉強」をしてしまうのを防ぐには、スマホのタイマー機能を使い、制限時間を設けて勉強することをお勧めします。時間設定は自分で決めてかまいませんが、初めて取り組む人は「50分勉強して10分休憩する」という1時間単位にすると管理しやすいでしょう。
この場合、50分後にアラームをセットし、アラームが鳴るまでは全力で勉強に集中します。アラームが鳴ったら勉強を切り上げ、集中力の自己採点を行いましょう。まずは、この50分間で自分が取り組んだ勉強の内容を、スマホのカレンダーアプリに正確に記録します。そして、その記録を見ながら、「最も集中できた」を5点、「最も集中できなかった」を1点として、5段階で評価してみます。
自分の理想の状態を5点にするのではなく、20%くらいの確率で達成できる良好な状態を5点として、1週間の中で1点から5点が均等になるように評価をしてみましょう。すると、集中力の高い(あるいは低い)曜日や時間帯が分かるようになり、具体的な対策を考えるのに役立ちます。
記憶に頼らずに、必ず記録を残す
人間の脳には、記憶を自分の都合の良いように書き換えることでメンタル面の不調を防ぐ働きがあります。「なんとなく集中できた・できなかった」という記憶だけに頼っていると、実際にどれくらい集中していたのかを把握することができません。勉強した時間と内容については、カレンダーアプリを活用して必ず正確な記録を残すようにしましょう。
人間の集中力は季節的な要因や体調にも左右されます。1カ月に1回は、集中力の状態を客観的に見直し、その時々の自分にとってベストな勉強法に柔軟に切り替えていくことが大切です。
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吉田たかよし さん
よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医。本郷赤門前クリニック院長。脳科学と学習医学を活用して受験生の心身のサポートを行う。著書多数。
『脳科学と医学からの裏づけ! スマホ勉強革命』(青春出版社、税抜1380円)
勉強の敵と思われているスマホ。上手に使えば集中力や記憶力などを高めることができる。脳科学に基づいたスマホの使い方がわかる。
『「ついつい先送りしてしまう」がなくなる本』(青春文庫、税抜690円)
期限を守れない、面倒だと後回しにしてしまう……。それは脳に先送りの癖がついているから。脳の癖に気付いて改善できる方法を知ろう。