心療内科医の吉田たかよしさんに、なぜスマホをいじることをやめられないのか聞いた。(安永美穂)

Q. スマホを使うと、人間の脳にはどんな影響があるのでしょうか?

A. 受け身の姿勢でいると、脳がスマホに乗っ取られた状態に。

 

人間は、脳の司令塔にあたる「前頭前野」が活発に動くことで、自分の意思や判断に基づいて行動をコントロールすることが可能になります。しかし、スマホのゲームや動画などでワクワクする状態が続くと、喜びや快楽などを感じさせる脳内情報伝達物質が大量に分泌され、欲望を生み出す「大脳辺縁系」への刺激に「前頭前野」が対抗できなくなり、いわば脳がスマホに乗っ取られた状態になってしまうのです。

スマホは能動的に使うことが重要

脳とスマホは「情報を処理する」という点で、とてもよく似た機能を持っています。そのため、何も考えずに受け身の姿勢でスマホを使っていると、「主体的に考える」といった本来は脳が担うべき機能をスマホに委ねることとなり、スマホ依存に陥る可能性が高くなります。

ですが、明確な目的を持ってスマホを能動的に使いこなすことができれば、やる気を引き出したり、集中力や記憶力を高めたりすることも可能になります。スマホは「なんとなく使う」のではなく、脳の働きを活性化させる方法で「正しく使う」ことを心掛けましょう。

 

吉田たかよし さん

よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医。本郷赤門前クリニック院長。脳科学と学習医学を活用して受験生の心身のサポートを行う。著書多数。

 

 

『脳科学と医学からの裏づけ! スマホ勉強革命』(青春出版社、税抜1380円)

 勉強の敵と思われているスマホ。上手に使えば集中力や記憶力などを高めることができる。脳科学に基づいたスマホの使い方がわかる。

『「ついつい先送りしてしまう」がなくなる本』(青春文庫、税抜690円)

 期限を守れない、面倒だと後回しにしてしまう……。それは脳に先送りの癖がついているから。脳の癖に気付いて改善できる方法を知ろう。