浦和第一女子高校の現2年生7人のグループは、昨年度スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の研究対象に、単細胞生物ゾウリムシを選んだ。
遅くなる?仮説立てる
顕微鏡でゾウリムシの遊泳を観察してみると、個体によって泳ぐ速さが異なると気付いた。7人は、ゾウリムシの泳ぐ速度は「満腹度」の違いで生じるという仮説を立てた。「私たちがお腹いっぱいだと動きが鈍くなると同じで、満腹なゾウリムシほど泳ぐのが遅くなると思ったんです」(須賀京さん)
昨年10月から週1回、仮説を検証する実験に取り組んだ。実験は、ゾウリムシを満腹にすることから始まる。エサを取り込んだゾウリムシは「食胞」という器官でエサの吸収や消化を行う。顕微鏡をのぞくと、体内にエサを取り込むたびに食胞が増加しているのが分かった。「最初は片栗粉を餌にしましたが、あまり食べてくれずに失敗。パン作りで使われる酵母を与えると、よく食べてくれました」(窪木愛乃さん)
何十回もタイム検証
顕微鏡にメモリーの付いたレンズを取り付け、ゾウリムシの「遊泳コース」とし、移動タイムを計測することにした。餌を食べてから5分、10分、20分後の移動タイムを計測すると、10分後が最も速く、20分経つと遅くなると判明。「10分後は、エサがエネルギーとなり速く泳ぐ。一方、(満腹状態となった)20分後は食胞の増加で速度が落ちるんです」(須賀さん)。7人は、満腹のゾウリムシの泳ぎは遅くなると結論付けた。「計測時、真っすぐ泳がなかったり、動き回ったりと苦労したけど、各タイム50回から80回のデータが取れました。その平均値から仮説を分析できた」(須賀さん)
(文・写真 中田宗孝)