暁星国際高校では、東日本大震災の後から「文明と天災」をテーマにした研究や復興支援活動に取り組んでいる。

昨年度も国際津波防災学会に参加して、津波が発生するメカニズムの最新の知見を基に減災の可能性を学んだ。宮城県山元町に出向き、桑畑の整備や桑茶製造の手伝い、住民との交流も年2回続けている。

SGH甲子園(3月、関西学院大学主催)で「文明と天災」をテーマに発表した暁星国際高校ヨハネ研究の森コースの生徒たち。左から3人目が青葉さん

小学生で被災、体験言葉に

3月に卒業した青葉あずささんは小学4年生の時に仙台市で被災した。地震直後は電気、水道、ガスだけでなく「通信も途絶えて大混乱でした。文明は人々の生活を便利にしましたが、文明のために被害が大きくなったとも感じました」と振り返る。

青葉さんは自分よりも大きな被害を受けた人達を考えると、自分自身の恐怖を口にすることがはばかられたという。山元町での活動も当初は気が進まなかったが、先輩たちに促されて足を運んだ。活動後は毎回、課題のレポートを作成した。震災についての思いを言葉にすることで自分の被災体験を客観的に見られるようになっていくのを感じた。

もっと発信を、風化に危機感

一方でこのままでは震災についての記憶が風化してしまうと危機感を持つ。

3月に訪問したミャンマーの製紙工場では、地震があれば大事故につながりかねないほど紙類が無造作に積まれているのを目の当たりにした。「(震災に)負の印象を持つ人が情報を発信することに意味があると思います。私自身は学びのエネルギーにもなっている」と話す青葉さん。体験や気持ちを言葉にすることを大切にしていくつもりだ。