体育祭や文化祭、球技大会など、クラスで一つのことに取り組むとき、部活でまとまるとき、どうすればうまくいくのだろうか。相手と良い関係を築ける言葉かけのコツを知ることが、成功の鍵になる。「伝わるコミュニケーション」についての研修・講演を多数手がけている戸田久実さんに、アドバイスしてもらった。(安永美穂)

Q. 注意するとすぐ泣いてしまう人がいて困っています……。

A. 怒ったり慰めたりせずに、ドライな言葉で冷静な対応を。

 

泣く行為は自己防衛、慰めてはだめ

相手が泣いたときは、「この人は『これ以上私を責めないで』という自己防衛の気持ちを泣くことで伝えようとしているんだな」と考えましょう。オロオロして「大丈夫? お願いだから泣きやんで」と慰めると、相手は「泣けば許してもらえる」と学んでしまうので、同じ対応をくり返すようになります。

「なんですぐに泣くのよ!」と怒るのも余計に泣かれるだけなので、「大事なことだから、泣かないで聞いてほしいな」「泣き終わるまで待つから、涙が止まったら話そうか」と冷静に対処しましょう。

無理に優しくせずにドライな対応を心がけると、相手は「泣いてもどうしようもない」と自覚するようになり、泣く回数も次第に減っていくはずです。

 

戸田久実さん

とだ・くみ アドット・コミュニケーション代表取締役。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事。講師歴27年。『〈イラスト&図解〉コミュニケーション大百科』(かんき出版、税抜き1400円)など著書多数。