小学校の思い出から着想
森みのりさん(茨城・茗溪学園高校2年)は、四つ葉のクローバーが発生しやすい条件を調査した。同校では2年生全員がそれぞれテーマを決めて課題研究に取り組む。森さんはもともと植物が好きで、出身小学校の校庭に四つ葉のクローバーが多かったことなどから、四つ葉のクローバーが発生しやすい条件について調べることにした。
まず水や養分を運搬する「維管束」を観察したが、茎と葉をつなぐ「葉柄」の維管束の本数は、三つ葉、四つ葉ともに5本前後で違いはなかった。だが観察を続けると、葉柄では5本だった維管束が、「小葉柄」の前でいったんつながってから、再度、葉の枚数と同じ本数に分かれることがわかった。
鍵はリン酸? 植物ホルモンに着目
次に、窒素、リン酸、カリウムの量を変えた肥料を使ってクローバーを育てた。窒素とリン酸を多く含む区域から四つ葉以上の葉の多いクローバーが発生した。窒素はリン酸の吸収率を上げることが知られているため、リン酸が植物体に多く吸収された時に発生するのではないかと考察した。
こうした経緯を経て、維管束の分化を促進させる作用があるとされる植物ホルモンの「オーキシン」に着目。リン酸を多く含む土壌に植えた苗に、オーキシンの水溶液を吹き付けたところ、葉の多いクローバーが発生した。
以上のことから、植物体内に取り込まれたリン酸が維管束形成を促す作用をして、多葉クローバーを発生させているのではないかとまとめた。
6000本のクローバー数える
体操部の選手でもある森さんは、放課後の練習後に、観察、考察、実験を積み重ねた。多葉クローバーの発生率データを得るため、6000本以上のクローバーの葉の枚数をほぼ一人でひとつひとつ確認した。森さんは、「大変でしたが、数え上げた時はやったぁという達成感がありました」と笑う。今後は、小葉柄のどの部分でオーキシンが働くのかなど、より深く研究したいと考えている。
森さんの研究は、昨年12月の第16回高校生科学技術チャレンジ(朝日新聞社など主催)の3位にあたる科学技術振興機構賞を受けた。