やりたいことがあっても失敗して後悔したくない思いが湧いて、尻込みしてしまう。そんな自分にがっかり……。ポジティブに生きるための心理学の専門家に、チャレンジ精神を身につけるコツをアドバイスしてもらった。(中田宗孝)

Q.やりたいと思っても「自分には無理」と思ってしまいます。どうすればチャレンジ精神を持てるようになりますか?

 

A.小さな成功体験を重ねよう。

リスクが頭をよぎり瞬間的に「無理!」と思ってしまうのは、自分にできるという自信がない表れ。あるいは、失敗することへの嫌悪感や羞恥心があるからです。自信を身につけることが解決策になるのですが、心理学では「自己効力感」と呼びます。

この自己効力感を高める方法は、小さな成功体験を積み重ねていくことです。無理だと思っていることの挑戦難易度を下げてみて、クリアしていく。わずか一歩の、ささいな成功だとしても、自己効力感が上がっていき、自信となります。

また「代理経験」という方法もあります。自分が無理だと感じていること、挑戦したいと思っていることを成し遂げている人を見つけて、その人をじっくり観察する。目標とする人の行動をまねてみるのです。観察の対象は、身近なクラスメートでもよいです。「どんな勉強法をしているのだろう?」「どういう考えを持っているんだろう?」「生活習慣は?」と、観察してみましょう。

そして、その中で自分にもできるかもしれないという部分が見つかるはずです。その人と自分は違うタイプの人間だとは思わずに、それを見よう見まねで実践してみてください。小さな成功体験で得た「自己効力感」、目標とする人のまねをする「代理経験」の両方から自信を身につけると、挑戦できる自分になれます。

 

久世浩司さん

くぜ・こうじ ポジティブサイコロジースクール代表。大垣北高校(岐阜)卒。慶應義塾大学卒業後、一般企業に勤務。その後、レジリエンスを活用したスクール設立や企業人材の育成に従事。「『レジリエンス』の鍛え方」(実業之日本社)など著書多数。