中高生の自転車事故が後を絶たない。「私は事故に遭うわけない、大丈夫」と、高をくくっていないだろうか? 安全に乗るためにやるべきことを、全国の高校で自転車の安全講習を行う遠藤まさ子さんに聞いた。(黒澤真紀)
夜道は服やリュックに「リフレクター」をつけて
夕暮れ時の事故を防ぐためには、リフレクター(反射材)の活用が欠かせない。「リフレクターバンドやキーホルダーを服やリュックに付けるだけでも安全性が高まります。自転車に備え付けてあるリフレクターが曲がっていたり汚れていたりすると反射効果が低下し、ドライバーからの視認性も悪くなるのでメンテナンスも忘れずに」

「BAAマーク」がついている自転車を選ぼう
事故防止には、安全な自転車選びも欠かせない。「雑貨屋や洋服店で売られている見た目重視の自転車は、品質が不十分な場合がありますし、有資格者の最終整備を受けずに販売されることも多いです。『BAAマーク』など安全基準を満たした自転車を、自転車屋で購入し、定期的な点検と適切なメンテナンスを心がけてください」

ブレーキや空気圧チェック…メンテナンスを忘れずに
日々のメンテナンスも大切だ。「ブレーキがすり減ると効きが悪くなり、ブレーキをかけてから停止するまでの『制動距離』が最大3.5メートル延びることがわかっています。制動距離が延びればその分、歩行者を事故に巻き込む危険性があり、パンクの原因にもなります」
大切に乗っていても、タイヤの摩耗やチェーンの劣化、フレームの破損などは避けられない。「毎日使っているなら、タイヤの空気圧チェックは最低1~2週間に一度、定期点検は長期休みなどの機会を活用して年に一度はしてほしいですね」
遠藤さんは「自転車は便利な生活用品ではなく、立派な『乗り物』だ」と強調する。高校生にも、ルールを守り、安全に使う責任がある。今日から意識を切り替え、自転車に乗る心構えを整えてみてはどうか。
えんどう・まさこ
自転車ジャーナリスト。自転車の安全な乗り方について啓発活動を行う「自転車の安全利用促進委員会」で委員を務める。新聞やテレビ番組などで、自転車の利用や安全指導について解説するほか、全国の高校生や教員に向けて自転車通学指導セミナーを開催している。