ハワイと群馬を比較した研究を3月に関西学院大学(兵庫)であったSGH甲子園で発表した

 

国からSGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定されている群馬・中央中等教育学校の4・5年生(高校1・2年生)11人は昨年8月、米ハワイ島でフィールドワークをした。「食」「火山」「観光」の3班に分かれ、ハワイと比較しながら、群馬県に観光客を増やす方法を考えた。 (文・写真 野村麻里子)

オリジナルすき焼きを発案

群馬県は、県産の食材を使ったすき焼きを国内外に発信するプロジェクトを進めている。「食」の班は、すき焼きを外国人に広めようと考えた。

ヒントを求めたのは、ハワイ料理の「パシフィックリムディッシュ」。現地の材料を使うが、味付けは日本ならしょうゆ、中国なら豆とう板ばん醤じゃんなど、アジア各国の調味料を使う。食文化の融合ともいえるこの料理を、外国人向けのすき焼きに応用しようと考えた。

ハワイの料理人らに、現地で好まれる味付けや、宗教上の理由で口にされない食材についてインタビューした。「ハワイのアロハしょうゆは、日本のものに比べて糖分濃度が高い」といった情報を得た。これを参考に「ハワイアンすき焼き」を考案し、ホノルルの日本食レストランにメニューにしてもらおうと交渉中だ。

さらに、群馬を訪れる外国人観光客の約7割が東アジアからであることを知り、中国人らの口に合う味付けをした「チャイニーズすき焼き」を発案。提供してくれる県内の店を探している。反町倫太良君(5年)は「優勝すれば商品化される、すき焼きのコンテストに出品することも考えています」と話す。

浅間山の魅力を伝えるには

群馬とハワイは、活火山があるのが共通点だ。だが、「火山」の班が観光客数を比較すると、ハワイのキラウエア火山が年約60万人、浅間山が約5万人と大きな差があった。浅間山は国立公園でジオパークに認定され、観光資源として魅力があるはず。どうすれば観光客が増えるのか。

調べてみると、米国の国立公園が発信するキラウエア火山のウェブサイトは見やすいが、浅間山は長野県と群馬県にまたがっているためサイトが複数あり、分かりづらい。川村奈央さん(5年)は「一つの団体が浅間山全体(の観光情報発信)を統括すれば、情報がより伝わるのでは」と提案する。

フォトコンテストにスタンプラリーの要素を加えたイベント「フォトラリー」も考えた。「より多くの観光客に楽しんでもらえるのでは」と、川村さんは期待する。

ほかにも、「観光」の班は、観光案内の多言語化、年齢や出身地によってツアープランを変えるなどのアイデアを練っている。