男子校らしい、パワフルな演奏で聴衆を魅了する東京・正則学園高校ビッグバンド部。演奏前は和気あいあいとした雰囲気だが、ドラムのカウントが始まると、一転ジャズメンの顔つきに変わる。
演奏する楽曲はジャズが基本。ロックやファンク調の曲も自分たちのバンドに合っていればレパートリーに加えるという。
週5回の活動日は基礎練習を徹底して行う。「曲の練習時間よりも、楽器別に基礎練習をする時間の方が長いんです」と、部員の長田龍一郎君(3年)。トランペットやサックスの管楽器隊は1つの音を伸ばし続けるロングトーン、ドラムやベースのリズム隊はメトロノームを使ってリズムキープといった地味な練習を繰り返す。部長の藤本恵伍君(3年)は、「その中で部員同士の意思疎通も深めます」と話す。
互いの顔見て音合わせ
基礎練習の成果は「バンドの音」に表れるという。ベース担当の藤本君とドラム担当の長田君のコンビは、楽器別のパート練習後に行うバンド全体の楽曲演奏で息の合ったリズムを刻んだ。「僕らは譜面を見ません。互いの顔を見ながら音を合わせます」(長田君)
ジャズは演奏者による、その時々の即興演奏が魅力の音楽。譜面通りの完璧な演奏にこだわらず、演奏者たちの曲の解釈や感情のぶつかり合いが良い音となって表れる。その「グルーヴ」こそが、同部が掲げる「オンリーワンの音」を作り出している。「演奏を聞いた人たちを驚かせるようなインパクトを与えたいんです」(藤本君)(文・中田宗孝、写真・田部翔太)
一日の流れ
- 15:00
- 準備。個人のウオーミングアップ
- 16:00
- 楽器ごとに集まり基礎練習
- 18:30
- 各楽器での曲練習
- 19:30
- 全体セッション。曲練習、アドリブ・ソロ練習などを行い終了
- 【部活データ】
- 2008年創部。部員27人(3年生14人、2年生1人、1年生12人)。バンド名は「EMP Band(Entusiastic Music Performers Band)」。7月開催の「富士山の森ジャズフェスタ」「横浜旭ジャズまつり」への出演に向けて「Straight No Chaser」「The Girl From Ipanema(イパネマの娘)」などを練習中。