鈴木理沙、西戸真菜、山崎加南子、安齋紘花。県立福島西のたった4人の3年生は、入学時からいつも一緒に過ごしてきた。伝えたいことはLINEなどを使わず、いつも面と向き合ってぶつけてきた。納得できないようなことを言われたときも、まずは受け入れてみる努力を欠かさなかった。そんな関係性だ。

福島西の4人の3年生。左から山崎、鈴木、西戸、安齋

福島で開催された昨年のインターハイバスケットボール競技。福島西は2つの出場枠に入ることができず、大会の補助役員として参加していた。

ドリンクの提供、関係者の受付、試合のスコア付けやタイマー係…。安齋は、同じ高校生が激戦を繰り広げている姿を目にして、たまらなく悔しかったという。他の3人も気持ちは同じだった。4人は仕事の合間にこっそりと、「来年は絶対に自分たちが出よう」と何度も誓い合った。

鈴木、山崎、安齋は身長150センチ台。西戸も165センチと大きくはない。「3年生が少ないし小さいから、今年の福島西は弱いだろう」という周囲の声をはねのけ、県大会決勝で「今まで一番いい試合」(安齋)を披露して全国行きを決めた。渡邊拓也コーチは「3年生が今何をやるべきかを考えて練習し、それを後輩たちに伝えてくれたおかげ」と話す。

安齋(背番号7)や鈴木が中心となり、経験の浅い2年生たちを盛り立てた

今大会はポイントゲッターの西戸をケガで欠く苦しい状況ながら、かわりにスタメンに入った鈴木がチームをけん引し、1回戦の和歌山信愛(和歌山)を延長戦の末に69-64で撃破。2回戦の聖カタリナ学園(愛媛)戦は53-94と大差がついたが、前半は粘り強いディフェンスと山崎の3ポイントが冴え、互角の展開だった。

「インターハイに出たい」という目標は達成できたが、西戸が満足にプレーできなかった今大会はもちろん不完全燃焼。安齋は、ラストチャンスとなる12月のウインターカップのコートに立つカギはディフェンスだという。「ディフェンスをさらに強化して、流れを作れれば(県予選は)絶対に勝てると思います」。

4人の集大成が、ウインターカップという最高の舞台でなされるか。10月の県予選の行方に注目したい。(文・写真 青木美帆)