世界の高校生が科学技術の研究成果を競う「インテル国際学生科学技術フェア(Intel ISEF)2016」が5月に米国で開かれ、市立千葉高校の市毛貴大君(3年)が機械工学部門の最優秀賞に選ばれた。高校1年のころからモーター研究に情熱を注いだ結果が実を結んだ。
(野村麻里子)
研究の原点は「自動車好き」
市毛君の研究テーマは、プリンターなどに使われる「ステッピングモーター」を省電力化する新しい方法。従来より簡単な点が評価された。
幼いころからものづくりや自動車が好きで、高校1年の時からモーターを研究してきた。研究を行うのは実験装置がある自宅。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の課題研究の時間も利用した。
昨年12月に行われた「高校生科学技術チャレンジ」で文部科学大臣賞を受賞し、今回の米国派遣が決まった。1年生の時からクラス担任として成長を見守っている米谷貴信先生は「研究は市毛君一人の力でどんどん進めてきました。『好きにやってごらん』と声を掛けていたら、ここまで来てくれた」と話す。
研究者と英語で質疑
本番はポスター発表で審査される。審査員は1000人以上で、市毛君のブースには10人ほどの各国の研究者が審査に訪れた。
研究発表も質疑応答ももちろん英語。市毛君は「英語は苦手です」と言うが、昨年出場した時も通訳なしで十分伝えられたという。「審査員からは成し遂げたことの伝え方で評価が変わることをアドバイスしてもらいました」
表彰式で「頭真っ白に」
表彰式で日本人の名前はなかなか呼ばれなかった。「今年は無理なのかなって思いました。支えてくれた人たちが頭によぎって…ダメだったのかなって」と振り返る。最優秀賞だと告げられると、頭の中が真っ白に。「驚きましたが、それよりもほっとした気持ちが大きかった」。さらに日本人初の「インテル財団文化・科学中国訪問賞」も受賞した。
研究はモーターの種類を変えて続けていくつもりだ。「研究機材の購入費で親に迷惑をかけてきました。経験を後の世代に伝えて、次のステップに行くことが恩返しです」。将来の夢は自動車の設計士。作りたい車の構想を、思い描き始めている。