東京・広尾学園高校の村山華子さん(3年)は、酸素濃度が細胞の培養に与える影響を研究している。英語の学術論文も読み込む努力家だ。

細胞培養の技術を習得

同校は、最先端の実験機器が使えるサイエンスラボがある。医進・サイエンスコースの村山さんは1年生のころからラボに通い、「iPS細胞やES細胞の実験ができるようになりたい」一心で難しい細胞の培養技術を身に付けた。

2年生の夏、「細胞を培養する際の酸素の濃度が体内環境を再現していない」と疑問に思った。ES細胞を作るのに必要な受精卵がある子宮の中は、空気中に比べて酸素濃度が低い。だが、実験では酸素濃度を考慮しないのが一般的であるため、「結果が正確に出ない可能性がある」と考えた。

そこで、酸素濃度を低くして実験したところ、体細胞の増殖が活発になった。一方、ES細胞は、ほかの細胞になる「分化」が始まることが分かった。

iPS細胞の実験も視野

放課後はもちろん、始業前や昼休みもラボに通う。帰宅後は英語で書かれた学術論文を読み込み、最新の研究情報を得ている。これまで読んだ論文は約30に上る。

「今後はiPS細胞も使って研究したい」と話す。「細胞が効率よく培養できる酸素濃度が分かれば、再生医療に貢献できるかもしれない」と期待する。(文・写真 野村麻里子)