「コミュ障」を調べた2人(3月のSGH甲子園)

長田高校(兵庫)の吉井菜月さんと高見奈央さん(ともに3年)は、コミュニケーション能力が低い人を「コミュ障」と表現して使う若者が多いことに注目。なぜ使われるようになったのか研究を始めた。

まず、コミュニケーションと書かれた新聞記事の件数を調べると、1990年代後半に急増していた。バブル崩壊後の不況による就職難や企業の海外進出で、企業がコミュニケーション能力のある人材を求める傾向が高まったと考察。その後、2010年ごろからスマートフォンが台頭して、SNSが普及し、コミュニケーションへ関心を寄せる人がさらに増えたと考えた。

聞いて理解する力が大事

そこで、「就職する際に企業側が求めるコミュニケーション能力とは何か」と疑問が浮かび、高校生と社会人にアンケートとインタビューを行った。すると、高校生で一番多かった答えは「自分の意見をはっきり言える」だったが、社会人は「人の意見を聞き、理解する」だった。「受信することも大切。(誰かと交流するとき、話すのが苦手なことを)コミュ障という言葉で逃げてはいけないと思いました。自分のことをうまく話せることだけがコミュニケーションじゃないんだと知ってほしいです」(吉井さん)  (野村麻里子)