科学技術高校(東京)は、授業での課題研究や部活動とは別に4つの「スーパープロジェクト」を立ち上げ、生徒有志がロボットやクラゲなどの研究に3年がかりで取り組んでいる。プロジェクトの一つ「フライングオブジェクト」の中で進められている火星探査飛行機翼班の活動に迫った。(中田宗孝)

フライングオブジェクトのリーダー新井美希さん(2年、右端)と火星班のメンバー(中田宗孝撮影)

NASAの資料など読み勉強

「火星の空を飛ぶ飛行機を作りたい!」。前人未到の壮大な目標を掲げる火星班。発足したのは2014年。大学生による火星探査機の研究に、当時の生徒たちが興味を持ったことがきっかけだ。

活動は週3日。航空力学や宇宙工学などの専門知識を初歩から学ぶ。「先輩方から専門用語、研究に必要な技術を教わり、メンバー各自でNASA(アメリカ航空宇宙局)や大学の研究者が発表した資料を読んで学んでいます」(伊藤武龍(たけし)君・3年)

気流を送風機で作り出す風洞実験装置を使い、考案した翼に加わる揚力を計測している(学校提供)

生徒だけで試作重ねる

近年、特に力を入れているのが、火星を飛ぶために適した飛行機の主翼部分の開発だ。火星の大気密度は地球の100分の1しかない。そのため、単純に計算すれば火星で飛行機を飛ばすには、地球の空を飛ぶ飛行機の100倍のスピードを出すか、100倍の大きさの翼を作らなくてはならない。「ですが、火星の重力は地球の3分の1。100÷3=約33と計算すると、地球上で33倍の揚力(飛行機が浮くために必要な力)が発生する翼を作れれば、理論上は飛びます!」(伊藤君)

2016年秋からは、翼の上下を流れる空気の差を大きくして揚力を増加させる「回転ローター付きの翼」作りに励む。翼の設計から模型まで生徒がゼロから手掛け、これまで試作品をいくつも製作し、翼に加わる揚力の計測試験を繰り返してきた。

揚力のデータを取得するのに必要な全長約3メートルの風洞実験装置も、生徒たちが自作した。主な活動場所である機械工場の旋盤やレーザー加工機といった機械を巧みに操り、木材や発泡スチロールなどから作り上げた。

衛星設計にもチャレンジ

現在は「衛星設計コンテスト」(日本機械学会など主催)にエントリーするための火星探査用飛行機の実機製作に没頭する。森川靖滉(やすひろ)君(3年)を中心にCADを使い、研究を重ねてきた回転ローター付きの翼構造を取り入れた機体を設計。全長1メートル、幅3メートルの飛行機を完成させる予定だ。