「万引き家族」©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

日本映画は21年ぶり

世界三大映画祭の最高峰とされるカンヌ国際映画祭で、是枝裕和監督(55)の「万引き家族」が最高賞「パルムドール」に輝いた。日本映画の同賞受賞は、今村昌平監督の「うなぎ」(1997年)以来21年ぶりで、5作目となる。

都会の片隅の家族描く

「万引き家族」は、樹木希林さんが演じる祖母の年金を頼りに、子どもに万引させて都会の片隅で暮らす貧しい家族の日常や秘密を描きながら、家族のつながりや社会のありようを問い掛ける作品。是枝監督が脚本、編集も手掛けた。審査委員長を務めた女優ケイト・ブランシェットさんは「演技、監督、撮影など総合的に素晴らしい」と受賞理由を語った。

社会性と娯楽を融合

是枝監督は1962年東京都生まれ。テレビのドキュメンタリー番組などを手掛けた後、95年に「幻の光」で監督デビューした。家族の姿を通して社会のひずみを浮き彫りにする社会性と、映画の娯楽性を融合させる作品を作ってきた。カンヌ映画祭では、2004年の「誰も知らない」の柳楽優弥さんが男優賞、13年の「そして父になる」が審査員賞を受賞。コンペティション部門への5度目の挑戦となった今年、世界中から出品された21作品の頂点に上り詰めた。

日本映画の最高賞受賞は「万引き家族」「うなぎ」の他に、衣笠貞之助監督の「地獄門」(54年)、黒沢明監督の「影武者」(80年)、今村監督の「楢山節考」(83年)がある。