発表した渡邉さん(3月24日、関西学院大学のSGH甲子園にて)

最近はインスタグラムで旅行先を決める人もいるなど、SNSの影響力は大きい。岡山城東高校(岡山)の渡邉友湖さん(3年)らは、この影響力を地方の観光業に応用できないかと、インスタグラムを利用した観光開発をテーマに研究を行った。JTB総合研究所や総務省の研究などから、旅行者が撮った写真をSNSで発信し、それを見た人が実際に出掛けるというサイクルで集客数を約10%増やせると分析した。

フォトブース置いて実験

そのためにまず話題になる場所を作る必要がある。渡邉さんらが同校の食堂入り口にある柱をハートマークや風船で飾り付けて椅子を置いたフォトブースを設けたところ、食堂を訪れた生徒の約30%が写真を撮った。利用率は予想の半分程度。「人目が気になったという意見がありました」

この検証実験を踏まえ、10~20代を対象にするにはフォトブースの設置ではなく、カラフルな小物などを活用して机上で収まるスペースを作ったり、壁・ドアなど人工物の外観や自然の風景など「インスタ映え」しそうなスポットを高校生の目線で積極的に発信したりすることが有効だと考えている。

「親しい人の投稿はもちろん、知らない人の投稿でも行きたいという気持ちを起こさせるのがSNS」と渡邉さん。地域の発展にはSNSを利用することでいかに関心を持ってもらうかが鍵になると話す。今回はSNSと観光をテーマに取り上げたが、「世界で起こっているさまざまな問題もSNSでの情報発信で身近に感じられる。問題を解決するツールになる」と今後も研究を続けるつもりだ。 (木和田志乃)