きたむら・たくみ  1997年11月3日生まれ。東京都出身。2008年、俳優デビュー。主な出演作は、ドラマ「仰げば尊し」、映画「君の膵臓をたべたい」など。11年に結成されたダンスロックバンド「DISH//」のメンバーとして音楽活動も行う。18年冬公開予定の映画「春待つ僕ら」に出演。

俳優業のみならず音楽活動でも才能を発揮する北村匠海さん。高校時代は、大学に進学して役者の仕事と両立させるか、役者の道一本にするか、ぎりぎりまで悩んだ。そんな自らの経験から「いくらでも失敗できる。挑戦できる」と、高校生の背中を押す。 (文・中田宗孝、撮影・高松英昭)

歴史好き 友人の「先生」に

テレビの歴史番組をよく見る歴史好き。高校時代の得意教科でもある。テスト前の放課後は、学校に残って友人たちと勉強に励み、北村さんは「歴史の先生役」を引き受けた。「僕は世界史の『臨時教師』でした(笑)。友人に教えることで、授業で学んだ知識を整理できるし、自分の記憶にも残る。それが僕の勉強法だったんです」

大学には進学せず、高校卒業後は俳優の道を選んだ。「正直、自分の将来どうなるんだろうと不安もあったし悩みました」と、当時の心境を振り返る。「結果的には、良い選択をしたと今は思っています。役者の仕事一本という、ある意味自分の逃げ道をなくすきっかけを作らないと、僕は人間的に成長できなかったと思います」

いくらでも失敗できる

高校卒業から約1年後、自身の代表作となる映画「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」の主演に起用され、「演技の幅が広がり、一歩前に進めました」。

将来の夢を模索する高校生には「僕は、将来をはっきり決めなくてもいいと思う。それよりも、今この瞬間、自分の好きなことに全力で向き合ってほしい」と、優しくエールを送る。「皆さんよりちょっと年上の僕自身、『まだまだ20歳じゃないか。失敗しても全然大丈夫!』。そんな気持ちでいるんです。人生、何歳からでもやり直せるし、新しい挑戦だってできると思います」

演じる役の思いを探る

自動車競技「ラリー」の世界を描いた映画「OVER DRIVE」では、主人公のライバルチームのドライバーを演じる。自分の体にフィットした特注レーシングスーツを着ると、演技のスイッチが入る。「ドライバーとして戦いにいく気持ちになる。役者にとって衣装はそのくらい大事なアイテム」

演じる役柄の生い立ちから思考までを「入念に考察して撮影に臨むタイプ」と話す。「僕の演じる新海は、若くしてラリー競技一筋に生きる男。彼はこれまで、血のにじむような努力をしてきたはずだし、普段の食事にも気を払う完璧主義者……。映像で描かれないけど、彼の内面を探るのが僕の役作りなんです」

「OVER DRIVE」
天才ドライバー・檜山直純(新田真剣佑)と、彼の乗るラリー車整備を担う兄の篤洋(東出昌大)は、日本最高峰のラリー競技でトップを目指す。そんな檜山兄弟の前にライバルチームの敏腕ドライバー・新海彰(北村匠海)が立ちはだかる。配給:東宝。6月1日から東宝系劇場で全国公開。 ©2018「OVER DRIVE」製作委員会