100万人以上が利用か
地域の子どもたちに温かい食事や居場所を提供する「子ども食堂」が全国で2千カ所を超え、100万人以上の子どもらが利用しているという。「子ども食堂安心・安全向上委員会」が初めて全国規模で実態調査、各都道府県の社会福祉協議会などを通じて独自に集計した。
子ども食堂は、貧困家庭や親の帰宅が遅い家庭の子どもらに無料または低額で食事を提供する。2012年に東京都で名付けられたのが始まりとされ、子どもの貧困が問題になる中でボランティア活動として広がった。
地域交流の場にも
当初は子どもの貧困対策というイメージが強かったが、現在は高齢者など大人も受け入れる食堂が増えており、地域交流の場としての役割が強まっている。設置や運営で公的な基準はなく、担い手もNPO法人や社会福祉法人などさまざまだが、食材費や保険料の負担が重くなり、資金繰りが難しい食堂も見られるという。
「自然な場にしたい」
同委員会代表の湯浅誠・法政大教授は「子どものために交流拠点をつくりたいと思う人が増えたのではないか。特別ではなく、社会の中に自然にあるものにしていきたい」と話している。
【memo】子どもの貧困率
18歳未満の子どもが、平均的な所得の半分を下回る家庭で暮らす割合。厚生労働省がまとめた2015年時点では年122万円を下回る家庭が該当し、7人に1人の割合となる13.9%だった。