群馬・中央中等教育学校の鈴木茉弥さん(5年=高校2年)は、SGHの課題研究として、日本の伝統的な人形劇である文楽を世界に発信する方法を考えた。(文・写真 木和田志乃)
小学生から親しみ
文楽は江戸時代に成立した、太夫・三味線・人形が一体となった総合芸術。鈴木さんが通っていた小学校では地元の劇団による文楽の公演を鑑賞し、6年生が公演に参加する機会もあった。鈴木さんは「文楽に親しみを感じて育ちました」と話す。
「文楽をもっと知ろう」と東京の国立劇場や群馬県内の浄瑠璃座3団体のスタッフにインタビューし、観客の高齢化や後継者の減少など、文楽の抱える問題を知った。「文楽は日本の昔の様子を実際に見ることができる方法。長く受け継いでほしい」と望み、観客増のために外国人に向けたPRを提案する。
海外の人形文化と連携探る
1つはチェコ、スロバキア、イタリア(シチリア)など世界無形文化遺産に登録され、人形文化に理解がある他国の人形劇団体と一緒に公演を行い、普及に向けて連携する。もう1つは、日本文化を扱う外国の大学に出向くなどして、新たな海外公演をすることだ。
後継者不足には外国人を受け入れることで対応する。後継者募集のホームページを設けるなど、文楽と外国人をつなぐ方法を模索している。
こうした提案を実現するには、言葉の違いへの対応も必要だ。外国人の観客のための字幕やイヤホンガイドを取り入れることや、後継者育成プログラムに日本語教育を組み込むことなどを考えている。海外との交流にはコストの問題もあるが、「実現できれば、海外での知名度が上がり、訪日外国人が増えるなどのメリットが考えられる」。
鈴木さんは「実現できるか、効果があるのかの検証が課題ですが、具体化して国立劇場に提案できるよう積極的に進めたい」と意気込んでいる。