淡水二枚貝の研究をした土浦第一高校の3人。手に持っているのは霞ヶ浦でとれた真珠と貝(3月に関西学院大学で開かれたSGH甲子園)

国からスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されている茨城・土浦第一高校の生徒3人は、霞ヶ浦の水質浄化と地域おこしのため、淡水二枚貝に注目。課題研究で、貝を使った環境改善と真珠養殖が両立できるかを実験した。(文・写真 野村麻里子)

宍道湖のシジミがヒント

霞ヶ浦は、生活排水などに含まれるリンや窒素などが大量に流入すると「富栄養化」という状態になり、植物プランクトンの増殖によって水質が悪化することが問題視されている。小野双葉さん、笹菜穂さん、松田奈々さんは2年生だった昨年度、島根県の宍道湖(しんじこ)が霞ヶ浦と同じくらい植物プランクトンが増殖しているにもかかわらず、二枚貝のシジミが富栄養化を抑えていることに着目した。「霞ヶ浦でも淡水二枚貝を利用することで、水質浄化ができないかと思いました」(松田さん)

実験で100リットルの水くみ

「霞ヶ浦で既に養殖されている淡水二枚貝の真珠をさらに広めることで、地元の活性化と水質浄化の双方が実現できるのでは」と考え、2種類の淡水二枚貝を使って実験した。その結果、真珠ができる核を入れても入れなくても水質浄化に効果があると分かった。「1回の実験に3日かかります。霞ヶ浦の水を100リットルくみに行くのですが、実験を失敗してまたくみ直しに行くこともあり大変でした……。忍耐力がついたと思います」(笹さん)

海外で真珠の認知度を調査

海外にフィールドワークにも行った。オーストラリアでの街頭調査では真珠の認知度が低く「真珠をそのまま売るのではなく、アクセサリーに加工するなど工夫が必要」と感じた一方、マレーシアでは認知度が高く「日本産の真珠の販売に期待が持てた」という。

今後の研究は後輩に託す。「貝の排せつ物の影響など、まだ調べきれていないところがあります。(後輩が)受け継いで、新たな視点で研究を深めてほしい」(小野さん)