第一高校地学部の部員たち

5000軒以上の住宅を訪問

第一高校(熊本)地学部は、熊本地震で被害を受けた益城町(ましきまち)の住宅を調査した。「住宅地が更地になり、ショックでした。もう二度とこんなことが起こらないように、新しく家を建て直すときに、私たちの研究が役立つようにと思って調べ始めました」(星下千夏さん・3年、副部長)

住宅の被害状況を調べるために一軒一軒訪ねた。「警戒する方や地震のショックで話せない方もいました。でも、制服を着て地域を回るうち、優しく声を掛けてくれたり、自ら家の亀裂を見せてくれたりする人が次第に出てきました」

実験で原因探る

訪問した5313軒の住宅の状態を大破・中破・小破に分け、メッシュという図を使って示したところ、地区によって損壊の度合いに違いが出た。

原因を探るため、付近を流れる川や平地、台地などの条件を考え、被害が大きかった東の急斜面のモデルを水槽に細砂やシルト粘土で作り、地震発生装置にかけて調べた。その結果、住宅の建っている地面の表面ぎりぎりまで水が上がって、軽い液状化のような現象が起きていたことが分かった。

この研究は第61回日本学生科学賞(2017年12月、読売新聞社主催)で文部科学大臣賞を受賞した。今年7月には国内の研究発表大会に出場する。「より多くの人にこの研究を知ってもらい、危険な場所には家を建てない、耐震化を行うなどの備えをしてほしいです」 (文・写真 吉永恵子)

メッシュという図で住宅の大破率(壊れた度合い)を示した