勉強・部活・塾・友達との約束などの予定が盛りだくさんで時間に追われている、テストが終わるたびに「もっと早くから勉強していれば」と後悔する……。心当たりがある人は、スケジュールの立て方から見直してみよう。時間の使い方の専門家、滝井いづみさんにアドバイスしてもらった。( 安永美穂)
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たきい・いづみ 質問を投げ掛けることで相手の思いを引き出すコーチングの手法を学び、時間の使い方に悩む人々のサポートに取り組む。著書に「『時間がない!』から抜け出すちょっとした方法」(大和出版)。
時間は財産 濃く使おう
――時間を上手に使うために心掛けるとよいことは?
時間は自分の財産なので、濃く使うことが大切です。授業をただ何となく聞き流しているだけでは、その時間は無駄になってしまいます。でも、先生の話をよく聞いて疑問点をその場で解決しておけば、家での勉強時間を減らせるかもしれません。時間を価値あるものにできるかどうかは、その人の過ごし方次第だといえます。
使える時間を「見える化」
――上手にスケジュールを立てるコツは?
①「やることを整理する」→②「使える時間を『見える化』する」→③「いつ何をやるかを決める」という3つのステップで取り組むのがお勧めです。
最初の①のステップでは、やることと、それに必要な時間を全てノートに書き出し、大事な順に1、2……と番号を付けます。重要度が同じくらいだと思うことがあっても同じ番号は付けずに、どちらがより大事かを考え、優先順位をはっきりさせましょう。
――「使える時間を『見える化』する」とは?
②のステップでは、ノートに1日の時間軸を書き、学校に行っている時間や通学時間、睡眠・食事・入浴などの生活に必要な時間を書き込みます。すると、空白になっている部分が「自分で使い方を決められる時間」だと分かります。この時間は自分に与えられた『器』のようなもので、使える時間は有限ですから、その器以上の時間は手に入りません。家で勉強に充てられる時間がどれくらいあるかを目で見て分かるようにすると、「時間を有効に使おう」という意識が芽生えやすくなります。
気を散らすものはしまう
――その次にやるべきことは?
③のステップでは、②で「見える化」した時間の中に、①で書き出したことを順位の高いものから順に時間配分をしながら充てていきます。
ダラダラせずに集中するためのポイントは、「勉強25分+休憩5分」を1セットにすること。この25分は一切他のことをやらないようにして、LINEの返信などは5分の休憩時間に回します。時間を計るときはスマホのアラームではなくキッチンタイマーを使い、スマホなど気が散る原因になるものは目に入らない場所にしまっておきましょう。
――やるべきことが使える時間内に収まらない場合は?
通学の移動時間などの隙間時間にできることはその時間に回します。終わらない場合に備え、週末の半日程度は「できなかったことに取り組む時間」として予定を空けておくと、1週間単位でやり残しがないように調整できます。予定を立てるときは、詰め込み過ぎないように気を付けましょう。
睡眠時間は削らない
――高校生の時間管理で大切なことは?
時間がないからといって、睡眠時間を削るのは健康面をはじめ、さまざまな悪影響があるため避けてください。読書や英語のリスニングなど、一夜漬けでは効果がないことを毎日コツコツ続ける時間を確保しておくと、自信につながります。高校卒業後に一人暮らしを始める可能性がある人は、おうちの人といろいろな話をしたり、家事のやり方を覚えたりする時間をつくることも心掛けるとよいでしょう。