岐阜女を引っ張った主将の村瀬久美

第46回全国高校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)が12月23日から29日まで東京体育館で行われた。女子決勝は、岐阜女(岐阜)が「高校9冠」を狙った桜花学園(愛知)を54-49で下し、初優勝を飾った。男子決勝は、明成(宮城)が土浦日大(茨城)を78-73で破り、3年連続4度目の優勝を果たした。
(文・長島砂織、写真・幡原裕治)

打倒「桜花」研究重ねた

女子決勝は、全国高校総体(インターハイ)、国体(県代表として出場)の決勝と同カード。高校バスケ界の女王・桜花学園は、インターハイ、国体、ウインターカップを3年連続で制す「9冠」が懸かっていた。

 岐阜女の主将・村瀬久美(3年)は「この1年、ずっと桜花を意識してきた」と振り返る。「桜花を破るには日本一努力するしかない」。国体後、雪辱を果たすべく、安江満夫監督の下でチームは再始動した。夏は4点差、秋は2点差で桜花学園に敗れた。「気持ちの差で負けた」と村瀬が振り返るように、これまで幾度も桜花を苦しめたが、大事な局面でシュートを決め切れず優勝を逃してきた。

 練習では、残り3分で相手を苦しめるプレーが出せるよう底力を鍛え、さらに寮では夕食時に何度も桜花のビデオを見て、次のプレーが分かるくらい研究を重ねた。

我慢して攻め続けた

迎えた決勝。シューター伊藤里奈(3年)への徹底マークで得点源を封じられた岐阜女は序盤から攻めあぐね、前半12-24と12点のリードを許してしまう。

 しかし、第3クオーター(Q)、ディヤイ・ファトー(2年)のゴール下シュートを皮切りに、止まっていた時計が動き出したかのようにシュートの入れ合いになる。第4Qは伊藤の3点シュートなどで追い上げ、残り1分44秒、岐阜女が田中陽子(3年)の3点シュートで逆転。その後、同点に追いつかれるも、村瀬のバスケットカウントで突き放し、優勝の瞬間を迎えた。

 試合を終えた伊藤の手には、汗でにじんだ「我慢」の文字。「シュートが入らなくても我慢して打ち続ければ入るという思いを込めた。最後は強い気持ちでプレーできた」

 相手にリードを許しても、攻め続けることで手にした悲願の初優勝。やっとつかんだ「三度目の正直」。今度こそ、誰もが気持ちで負けなかった。

 
【TEAM DATA】
1977年創部。ウインターカップ出場24度目、準優勝2度。インターハイ出場24度、準優勝2度。OGに坂田侑紀奈(トヨタ自動車アンテロープス)ら。