なんだか体がだるい。熱を測ると微熱があるようだ。「なんだか風邪っぽいんだけど」ともらすと、母から「じゃあ今日はお風呂入るのやめなさい」と言われた。そんな経験、ないだろうか。本当に風邪の時にお風呂に入っちゃいけないの? 牧野記念病院(横浜市)の内科医・建部雄氏さんに教えてもらった。

 

風邪気味でも入浴してもよいことがある

 

「38度以上の高熱がある」「ひどい悪寒や倦怠感がある」「嘔吐またはひどい下痢症状がある」「辛い頭痛やめまいがある」「起き上がるのも辛い状態である」――以上の条件に当てはまる場合は、かえって入浴中に倒れ込む可能性があるので、入浴しない方がよいです。

上記に該当しなければ、風邪症状がある時の入浴メリットとしては「入浴による血行促進効果や全身の筋肉の緊張緩和に有用」「新陳代謝が良くなり、鼻水症状が緩和する」「浴室内の高湿度により、のどの保湿が促され、ウイルス活性も抑制できる環境として適している」「蓄積されて不衛生になっている垢や皮脂といった分泌物が除去されるので、皮膚の新陳代謝がよくなる」が挙げられ、入浴は積極的に行った方がむしろ良いかと考えられます。

昔は、お風呂が離れにあり、せっかく温まっても体が冷えることがあったため、風邪気味の時はお風呂に入らないほうが良いといわれていたのでしょう。

建部雄氏さん  たてべ・たけし 京都市生まれ。2001年、昭和大学医学部卒業。大規模総合病院の救急科で経験を積み、急性期病院・クリニックの勤務を経て現職。