山岳民族の村で子どもたちと触れ合う生徒たち(学校提供)

神奈川・法政大学女子高校の3年生10人が7月、タイ北部で4泊5日のフィールドワークを行い、貧困が原因で起こる人身売買について調べた。

10人はSGHの専門講座「世界の女性とわたしたち」の選択者だ。タイでは貧困や借金を理由に、自分の子どもを売る実態があるという。売られる危険性が高い子どもを親の同意のもとで保護し、人身売買から守る施設を訪問した。

被害女性の話に衝撃

タイで人身売買の被害に遭い、ブローカーを通じて日本に来た女性にも話を聞いた。約20年間、地下で窓もないような場所で性的労働を強いられたという。大江芙志華さんは「日本で行われていたことに驚き、悲しかった。(被害者の)生の声を聞いたからには、人身売買の現実を(他の日本人に)伝えなければならないという義務を感じた」と話した。

山岳民族の村に宿泊

10人は山岳民族の村にホームステイした。泊まった家は借金があり、出稼ぎに行かなければならないなど貧しい様子だったという。生徒のための歓迎会では簡単な振り付けで一緒に踊ったり、民族の言葉を覚えて話したりして交流を深めた。

帰国後「何か貢献したい」との思いが募り、9月下旬に行われた同校の文化祭で、山岳民族が刺しゅうし、保護施設周辺の村人が裁縫したかばんなどの布製品を販売。収益は非営利団体を通して現地に送られるという。