ヘアメーク:内山多加子(Commune) スタイリスト:荒木大輔

「銀魂」や「トモダチゲーム」といった人気漫画の実写映画などで活躍する若手俳優の吉沢亮さん。実は高校時代は「俳優の仕事を辞めたい」と思い詰めていたことがあったと明かす。そんな自分自身を変えたのは、初めて主演を務めた舞台での苦い経験だったという。俳優の仕事に真剣に向き合う姿を高校生記者が取材した。(聞き手・平岡亜美、構成・中田宗孝、写真・玉井幹郎)

アドリブでダサかっこよく

──どんな高校生でしたか。

仲の良い5、6人の男子で集まっては、教室の隅でわいわいとにぎやかにしているような高校生でした。ただ、学校でも特定の人としか話さない、ちょっと内にこもるタイプでした。

──映画「斉木楠雄(さいきくすお)のΨ難(サイなん)」で演じたのは、思春期特有の妄想が強すぎる高校生ですね

「漆黒の翼」なんて自称する変わり者(笑)。しゃべりながら無駄にかっこいい動きをするキャラなんですが、肩をクイックイッと過剰に揺らして動くなど、自分で考えたアドリブが多く採用されました。そう演じることでダサかっこよく見えるのかなと。

文化祭でメークして女装

──映画の舞台は文化祭ですが、吉沢さん自身の高校時代の文化祭の思い出は。

クラス企画で「桃太郎」のパロディー映画を製作し、僕はおじいさん役を演じました。ほかにも、男子数人で女装して、校内を歩き回っていました。女子生徒にスカートを借り、濃いめのメークもして。青春してない高校生だったとずっと感じていたんですが、こう話してみると「俺って意外と高校生楽しんでいたな!」って思いますね。

初主演舞台で「本気」に

──俳優の仕事で悩むことは。

高校時代は、俳優をやりたくない、辞めたいと考えてばかりでした。実際に辞める意思を伝えたこともありましたが、別の何かに興味があったわけでもなく……。でも19歳の時に初主演の舞台を経験して考えが変わりました。そこで自分の芝居の未熟さを感じ、主役として舞台を引っ張ることもできずに、ただただ悔しかった。そんな経験から「この仕事をもっと頑張りたい」という思いに火がついたんです。

──高校生にメッセージを

何かに打ち込み、続けることの大切さを知ってほしい。好きなことでも投げ出したくなる瞬間があると思う。そんな時は一度「本気で向き合っているか?」と思い返してみて。後悔を残さないくらいに全力で取り組んでみると、不思議とやりがいが再び込み上げてくるんです。俳優の仕事を続けている僕がそうだったように。

取材を終えて

 

吉沢さんはとても優しく温かい雰囲気で、質問に丁寧に答えてくださいました。俳優を辞めたいと思っていたという高校時代の苦悩を知り、衝撃を受けました。ですが、初主演舞台を経て演じる面白さを発見したと聞き、物事に本気でぶつかる大切さを感じました。お芝居に対して真剣かつ楽しんで臨む姿に、私も今しかできないこと、目の前の課題にもっと本気でやってみようと強く刺激を受けました。(高校生記者 平岡亜美)

【よしざわ・りょう】

1994年2月1日生まれ。東京都出身。2009年に芸能界デビュー。主な出演作は、映画「トモダチゲーム」「銀魂」ほか。18年、映画「リバーズ・エッジ」「あのコの、トリコ。」「ママレード・ボーイ」などの主演作の公開を控える。

Ⓒ麻生周一/集英社・2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会
『斉木楠雄(さいきくすお)のΨ難(サイなん)』
テレパシーや念力など多くの超能力を持つ高校生・斉木楠雄(山﨑賢人)は、自らの能力を隠して普通の学校生活を過ごしていた。だが文化祭当日、照橋心美(橋本環奈)や海藤瞬(吉沢亮)ら個性的な級友が次々と起こす問題を解決するハメになり……。配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント=アスミック・エース。10月21日から全国公開。