試食会ですんき漬けを使ったメニューを出す吉田温乃さん(右から2人目、学校提供)

兵庫・県立伊丹高校の吉田温乃さん(3年)は、「米国であまり有名でない日本の漬物を紹介したい」と考え、2年時のSGHの課題で販売プランを練った。しかし、米国では肥満が問題となっており、血圧の高い人も多い。そこで、症状を悪化させない塩分不使用の漬物、すんき漬けに注目し、メニューを考えた。(木和田志乃)

NYの生徒に好評

すんき漬けは長野県木曽地方の伝統料理で、赤カブの葉を乳酸菌で発酵させた保存食だ。祖母手製の漬物を食べて育った漬物好きの吉田さんは「かなり酸っぱくて食べにくい」と感じ、現地の食材と合わせて出す方が受け入れられやすいと考えた。偶然見ていたテレビの情報番組からヒントを得て、みじん切りにしたすんき漬けをクリームチーズに混ぜ込んだディップを考案した。「酸味がまろやかになり、食べやすくなりました」

昨年10月、フィールドワークでニューヨークを訪問した。現地の提携校で行われたイベントで、すんき漬け入りのおにぎり、ディップを乗せたクラッカー、すんき漬けそのものを試食してもらった。どのメニューも好評で、特に参加人数分を用意したおにぎり二十数個はあっという間になくなり、意外な人気ぶりに驚いた。同時に行ったアンケートでも、95%が日常的にキュウリやトウガラシの漬物をハンバーガーなどと一緒に食べていることが分かり、「米国人は思っていたより漬物になじみがある」と発見した。

日本の食文化広めたい

「食べて健康」とうたい、ディップやおにぎりのレシピ、ハンバーガーやピザのピクルス代わりに使用するアイデアを添え、現地のマーケットやオンラインショップですんき漬けを販売するプランは「ビジネスとして成り立つのではないか」と確信したという。

今年6月にはイタリアでのフィールドワークにも参加し、野菜やキノコの油漬け、酢漬けを見つけ、漬物という保存食が多くの国にあることを知った。今後はSGHでの学習を生かし「漬物をきっかけにして、日本の食文化を外国人に広める活動をしたい」と考えている。

【県立伊丹高校】2015年度にSGH指定。「おいしく食べて健康になる新しい食」をテーマとするビジネスプランを作成。台湾、米国、イタリアでフィールドワークを行う。