ポスター発表をした韮崎高校の平田匠君(学校提供)

全国高校総合文化祭(みやぎ総文2017)自然科学部門(8月2・3日、石巻市)のポスター発表で、平田匠君(山梨・韮崎高校生物研究部部長、3年)の研究「青色光によるハエの死亡原因は本当に酸化ストレスなのか」が文部科学大臣賞を受賞した。(野村麻里子)

ハエのサナギが青色光で死ぬ原因を調査

同校がある山梨県はサクランボ栽培が盛んだ。平田君は「サクランボに悪影響を及ぼすオウトウショウジョウバエを駆除をするにはどうすればよいか」を考えた。「青色光をハエのサナギに当てると死ぬ」という先行研究を見つけ、そのメカニズムを調べた。

先行研究では、青色光でなぜハエのサナギが死ぬのかは分かっていなかったという。青色光を当てると、体内で「酸化ストレス」という有害な反応が起こる。平田君は実際にサナギに青色光を当てて実験し、酸化ストレスを測ったところ、その値が増えていた。
 また、「酸化ストレスの値が上昇するときにアポトーシス(細胞が自然に死ぬこと)が起きること」を別の論文で知った。ハエのサナギでも同様か調べるために、平田君が実際に青色光を当てたサナギを分析すると、アポトーシスが起こっていることを確かめられた。青色光によるサナギ死亡のメカニズムは、青色光を当てると酸化ストレスの値が上昇し、アポトーシスが起きることによると示すことができた。

ゴールデンウィークは実験漬け

生物研究部の活動として、2年生の1月頃から研究を始め、3年生7月まで続けた。平日は毎日放課後4時から6時半、土曜日は9時から4時半まで研究に没頭した。ハエに卵を産ませてサナギを用意するために1週間かかる。「円滑に実験をするためにサナギの用意をするのが大変だった」と振り返る。
 今年のゴールデンウィークには大掛かりな実験に取り組んだ。サナギの死亡率を求めるために、サナギが100匹ほど入ったボトルを25本用意。青色光の照射を0~24時間ごとに照射する装置(回路)を作り、青色光の照射時間とサナギの死亡率の関係を調べていたら、「気付けばゴールデンウィークはすべて終わっていました」と笑う。

酸化ストレスで病気になるメカニズムを解明したい

研究を通して身についたことは「忘れっぽい性格ですが、計画性がついた。日常生活でも生きています」と話す。大学に進学しても研究を続ける予定。「酸化ストレスはさまざまな病気の原因になると言われていて、いま研究していかなければいけない分野。酸化ストレスによって病気になるメカニズムを解明していきたい」