女優として活躍中の山崎紘菜(ひろな)さん。映画「神さまの言うとおり」では、ハードなアクション演技の数々を運動部経験者のパワーで乗り越えた。大学生として青春を満喫する今、進路に思い悩んだこともある高校時代を「かけがえのない日々」と懐かしむ。
(文・中田宗孝、写真・玉井幹郎)
陸上部の経験 演技に生きる
生死を賭けた試練に挑む高校生を描いた「神さまの言うとおり」で、真っすぐな性格の少女・いちかを演じた。撮影では「恐怖」を演じることの奥深さを学んだ。
「悲鳴を上げるシーンの時に、監督から『違う悲鳴のパターンが欲しい』と言われたんです。怖いと感じる演技には、どん底の心境での恐怖、怒りを伴う恐怖など、多くの見せ方があるんだと知りました。それからは、いちかの気持ちを、より意識して恐怖の演技をしました」
激しいアクション演技には、高校時代の陸上部の経験が役立った。
「セットをよじ登るアクションシーンでは、うまく駆け上がって跳び上がることができました。走り高跳びの選手だったことが生かせましたね(笑)」
現役大学生でもある。20歳になった今、「高校生活の全てがいとおしい」と振り返る。
「放課後にクラスで団結して学校行事の準備を頑張るなんて、もう二度とできない貴重な体験。友達とおしゃべりしながら登校した平凡な日常も、青春だな、輝いていたなって思うんです」
海外映画祭で英語スピーチも
高校時代に英検準2級を取得したことが仕事にも生きる。今年10月に参加した海外の映画祭では、大勢の前で英語のスピーチを披露した。現在も英会話の勉強を続けている。
「高校で英語の勉強をもっとしておけば……なんてちょっぴり後悔もあるんです。高校生は、やはり勉強が大事。『文系だから理系の勉強をする必要ない』という考えの人もいるかもしれません。でも、幅広い勉強を一生懸命取り組んで、損をすることはないと思いますよ」
高校時代に最も悩んだのは進路選択。大切にしたのは「自分を見失わないこと」だ。
読者の高校生にも「『できない、無理』と決めつけないでほしい」とアドバイスする。「まずは自分の可能性を信じて、視野を大きく広げること。私は進路で悩んだら、家族に不安を聞いてもらいました。悩みを誰かに打ち明けるだけでも、自分の気持ちが整理されて前向きになれますよ!」
やまざき・ひろな 1994年4月25日、千葉県生まれ。2011年第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞して芸能界入り。主な出演作は、映画「この空の花 長岡花火物語」「悪の教典」ほか。
(高校生新聞 2014年11月号から)